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株式会社ISS山崎機械様

製造業のアナログ業務をkintone x トヨクモ製品で改善!シームレスに使える業務システムを構築した



 株式会社ISS山崎機械は山崎機械製作所として昭和21年(1946年)に創業した、型打の鍛造品を作っている製造業の会社です。滋賀県湖南市に本社工場を構え、同じく滋賀県甲賀市や高知県室戸市などにも工場を展開し、従業員は約200名です。鉄鋼商社である株式会社ISSリアライズと同じく、ISSグループの一員です。

型打鍛造とは、金属を加工する鍛造方法の一つで、主に精度が要求される部品を製造するために用いられます。例えば、何らかの部品を加工する際、板状や円柱状の材料から加工すると、加工する部分が増え、6割くらいの素材が無駄になってしまいます。型打鍛造では型に入れて成型するため、効率的に材料を利用できるのです。

ISS山崎機械では製造業あるあるとも言えますが、紙とExcelで情報を管理していました。さらに、それらの情報が個人に紐づいているのが課題でした。例えば、会社として共有のファイルサーバーを用意してはいたのですが、部門別のフォルダはなく、人の名前のフォルダが並んでいました。その中に、仕事に関するファイルが保管されていたのです。

属人化していた業務をkintoneとトヨクモ製品を組み合わせることで、次々と紐解いてクラウド化し、大きな業務改善を実現した経緯について、ISS山崎機械 情報技術課 岸下史嗣氏に伺いました。

ISS山崎機械 情報技術課 岸下史嗣氏


 岸下氏はもともとグループ会社のISSリアライズで16年間営業をしていたのですが、3年前に手を上げて、ITを活用して業務改善を行う担当になったそうです。そこで、kintoneやGaroon、RPAなどを使って業務改善に取り組んでいたのですが、2022年に声がかかり、ISS山崎機械に出向してくることになりました。

「ISSリアライズでは、Garoonで社内情報を共有していますし、kintoneやSFAツールも導入しており、自分たちの業務を共有するのが当たり前でした。ISS山崎機械に来て、それぞれの人たちが抱えてる業務が自己完結してることが多いことに気が付きました。人に業務が付いててる形がとても多かったのです」(岸下氏)

岸下氏はまず業務の棚卸という目的で、約40人にヒアリングを行いました。その結果、ファイルがどこにあるのかわからないとか、似た業務なのに別々でファイルを作成しているといった課題が浮かび上がってきました。

そこで、ISSリアライズでの経験を元に、やはりkintoneとGaroonが適していると判断し、稟議を作成。すぐに承認され、正式に導入することになりました。まずは、kintoneは20アカウントでのスモールスタートにして、kintoneアカウントのない人と情報を共有する際はFormBridgekViewerを利用することにしました。


現場で利用する軍手やアセチレンガスなどの消耗品を発注する際、まずは現場で紙に手書きし、事務所に来て基幹システムに入力していました。それをExcelに転記して管理していたのですが、手間がかかります。

そこで、消耗品の発注管理をkintoneアプリ化しました。現場の社員が、発注品マスタアプリから必要な消耗品のバーコードをバーコードリーダーで読み込むと、自動的にWebフォームに遷移して発注ができる仕組みにしています。
※フォームへの遷移は、バーコードリーダー側で設定をされています

消耗品の発注は、バーコードを読み込むことで発注フォームに遷移します


品名コードは、直接テキストで入力することも可能です


 Webフォーム上では、バーコードの読み込みで品名コードが自動的に入力され、FormBridgeとkViewerを連携したkViewerルックアップ機能を利用することで、品名や単価が自動的に入力される仕組みです。バーコードはkintone上でも確認できますが、現場では紙に印刷して張り出しているそうで、スマートフォンからの発注も可能です。
参考ページ|「kintoneで物品購入申請もラクラク〜kViewerルックアップ機能を活用

「kintoneはどんなプラグインを導入するのかがキモなのではないかと思います。必要に応じて、トヨクモ製品をはじめ、色々なプラグインや連携サービスを導入しています」(岸下氏)

PCを持たない現場社員への情報共有もスムーズに


 ISSリアライズと似た様式の業務は既存のアプリを参考にしながら開発しましたが、ISS山崎機械独自の様式に関しては一から作りました。例えば、現場の人がアイディアを出して業務を改善すると報奨金がもらえる「小改善」という制度があります。これまでは、Excelに入力して印刷し、ハンコを押して回って承認を得ていたのですが、kintoneで処理するようにしました。

kViewerで、kintoneの情報を見られるようにはしているのですが、PCを持っていない社員も多いので、紙での掲示も引き続き行う必要がありました。そこで、PrintCreatorも契約し、今までと変わらないフォーマットで印刷できるようにしています。

kintoneに連携する帳票出力サービスは、他社製品とも比較しながら検討しました。実際、最初は別の買い切りサービスを導入したそうです。しかし、他社のプラグインでは印刷位置をピタッと合わせることが難しく、最終的に、数値で座標を指定できるPrintCreatorに乗り換えたそうです。


「ほんの少しでもずれていると、システム化したのに何なの?と言われかねません。PrintCreatorなら、皆が期待するように綺麗にレイアウトできるのでありがたいですね」(岸下氏)

数値で座標の指定ができるため、指定箇所にレイアウトを配置することができます


PrintCreatorで「小改善」の報告書を出力できます


kViewerでは、Webページ上で情報を確認できます


 アプリやフォームのリンクはすべてGaroonからアクセスできるようにしており、社員にはこれがkintone、これがFormBridgeというのようには伝えていないそうです。kViewer越しにkintoneの情報を見ているなどと意識せず、利用者は便利に活用しています。ある種、トヨクモ製品が業務システムのインターフェースになっているのです。


「Garoonを見れば仕事ができるような作り方を目指しています。マニュアルもたくさん作って、誰でも使えるようにしました。それでもマニュアルを見ない人もいるので、そこのケアは地道に行っていこうと思います」(岸下氏)

kintoneの標準機能であるルックアップでは対応できない集計にDataCollectを活用


 現場では、金型が少々傷ついても、再利用できるように溶接で修理することがあります。その際、金型によって修正する工数が異なり、何日くらいかかるのかはベテランしかわかりませんでした。ノウハウとして共有されていないのが課題だったのです。

Excelで管理することは可能ですが、情報を共有するためにメールで配布したり、印刷したりするのは手間がかかりますし、ミスの原因にもなります。部門長から何とかして欲しいと依頼があったので、kintone化することにしました。

その後DataCollectで、「品番」と「加工内容」、金型の上型か下型かを表す「種類」の3つ内容が合致した際に、工数の合計時間が出るようにしました。「まとめてDataCollectボタン」を押下すると、一括で工数時間の合計を反映させることができました。

DataCollectで、フィールド式を設定し、工数合計を集計しています。


kintone画面で、一括で工数日を反映させることができました(kintoneは、メシウス株式会社のkrewSheetを活用)


 kintoneは、基幹システムと連携していないため、RPAを使ってkintoneへデータを取り込んでいるそうです。そのため、基幹システムへリアルタイムに変更が反映されません。例えば20日前にkintoneへ情報を入力した場合、今日基幹システムで登録されている情報と、納期のずれが稀に発生することがあるそうです。そこでDataCollectを活用して、システムに入力された日付と、kintoneに入力された日にちの差分を出すことも行っているそうです。

指令書NOをキーに、工程計画日(納期)の情報を引っ張ってきています


「DataCollectを導入する際は、他社製品とも比較をしました。他社製品だと、作成できるフィールド式に制限があったり、使える関数が少なかったりで、DataCollectを導入することに決めました。これまで、FormBridgeとkViewer、PrintCreatorとトヨクモ製品を使ってきて、とてもよかったので、安心して利用することができました」(岸下氏)

トヨクモ製品は、kBackupもご利用いただいています。kintoneに興味があると言ってくれた社員にアプリ作成を依頼した際、「すみません、マスタアプリを消してしまいました」と言われたそうです。驚いて確認したところ、その社員自身が作ったマスタアプリだったので問題はありませんでした。しかし、状況によっては実害が出るかもしれません。万一に備え、マスタ系の情報だけでもバックアップしておこう、とkBackupを導入していただきました。幸い、導入後にデータが消えるという事故は起きていないとのことです。

お話を伺うほど、複数のトヨクモ製品を徹底的に使いこなし、大きな導入効果を実現されています。トヨクモ製品をこれだけ導入し、活用されているポイントはどこにあるのでしょうか?

「プラグインや連携サービスはたくさんありますが、僕はトヨクモさんがkintoneのベストパートナーなんじゃないかと思っています。直感的に操作できますし、各サービスとシームレスに連携でき、相性がいいですね。サイボウズのイベントに参加することもあるのですが、トヨクモさんの製品を活用している事例はとても多いです。私はトヨクモさんの大ファンですね笑」(岸下氏)


最後に今後の展望についてお伺いしました。


「一つの仕組みですべての業務を網羅することはできません。しかし、利用者にこれはこっちの仕組み、あれはあっちの仕組みを使って、というのは覚えることが多くなって煩雑です。得手不得手があるサービスをどう組み合わせていくかで利便性が変わるので、今後も、利用者目線でシームレスに使えるようにしていこうと考えています」と岸下氏は語ってくれました。

記事公開日:2024年1月3日
※事例記事の内容や所属は取材当時のものとなります