転記作業が発生するスプレッドシートから脱却!kintoneとトヨクモ製品で大きな業務改善を実現した
株式会社ウィルビーは2017年に、株式会社プロシーズから求人事業部門を分社独立させ新会社としてスタートしました。「採用イノベーション」を事業ミッションに掲げ、求人サイト制作パッケージ「jobMAKER」や求人CSV一括変換サービス「HRデータワープ」など、求人・人材業界向けサービスを企画・提供しているIT企業です。
ウィルビーでは以前、海外製のSFAツールを導入していたのですが、機能の一部しか使っていないうえ、コストが高く乗り換えを検討しました。そこで、導入したのがkintoneです。最小限のアプリを作り、細々と使っていたのですが、ある日を境にkintoneの社内浸透が進むことになりました。
今回は、kintoneと連携してFormBridge、kViewer、kMailer、DataCollect、そしてToyokumokintoneApp認証を駆使して、様々なアプリを構築し、大きな業務改善を実現した経緯について、ウィルビー カスタマーリレーション部の山本珠恵氏に伺いました。
ウィルビー カスタマーリレーション部 山本珠恵氏
使い勝手とコスト面から海外製SFAからkintoneに乗り換えた
元々、ウィルビーでは親会社である株式会社プロシーズが使っていた海外製SFAツールを利用していました。しかし、長期に渡ってリードを追いかけることはしておらず、Webサイトからの問い合わせに対する反響営業を行っていたので、高機能なSFAツールはあまり業務にマッチしないという課題がありました。すべての機能を活用していないので、コストパフォーマンスも低くなります。また、やや使いにくいところもあり、メンバーのデータ入力も広まりませんでした。
そこで、営業中の顧客と制作中の顧客・リリース済みの求人サイトを一元管理し、全員で共有できるようなツールを探したところ、kintoneを見つけたそうです。問い合わせの数や営業の進捗を管理することができ、安価で使いやすいシステムということで導入することになりました。
また、親会社でも同時期に同じような課題があったそうで、ウィルビーとは別にシステム移行を検討し、こちらも偶然kintoneを導入することになりました。この親会社のkintone導入を担当していたのが、山本氏です。
3年後の2020年、山本氏は親会社からウィルビーに営業として転職してきます。2024年現在は、カスタマーリレーション部という部署に所属し、カスタマーサポートやヘルプサイトの更新、顧客向けのポータルサイト(後述の「ユーザーマイページ」)の構築といった企画も行っているそうです。
「私が入社するまで、SFAツールから乗り換えるにあたって作成した最低限のアプリのみを使っている状態で、kintoneの社内活用はあまり進んでいませんでした。社長もGoogleスプレッドシートの方が使いやすいかな、と言っていたのです。そんなkintoneの状態を見たときに、もったいないと思いました」(山本氏)
親会社でkintoneの導入を担当した経験から、kintoneを使いこなせば色々な課題が解決できると考えたのです。元々、SFAツールから乗り換える際に構築した、リード管理とメルマガ用リスト管理、社内依頼という3つのアプリのみが使われており、誰かが追加で作ったアプリは社内で使ってもらえない、という状態でした。
そこで山本氏は、スプレッドシートで管理していた案件管理と顧客管理のデータをCSVファイルで落とし、一つ一つチェックしながらデータを整形して、kintoneに入れてアプリを作成しました。そのうえで、「kintoneにデータを入れておいたので、これでやりましょう」と伝えると、やっと社員が使い始めてくれたそうです。
以前は、受注と失注のリストのみで、活動履歴が取れなかったという課題がありました。失注理由を必須項目にしたり、営業担当ごとの活動量を入力するようになって、営業の受注分析ができるようになりました。情報が集約され、kintoneを見れば正確な情報がわかるという状況になったのです。
「データを入力して蓄積すると、その後のデータの推移も見られるということが周知できました。皆さん、データがグラフで表示されることに興味を持ってくれたため、さらにデータを入力してくれるようになりました」(山本氏)
グラフ化することで、入力した情報を可視化することに成功しました。
社長が月4時間費やしていた収支管理の集計業務がワンクリックで可能に
会社の収支を親会社に報告するための報告資料作成は、社長自らExcelで行っていました。請求システムからCSVで書き出したデータを、Excelのテンプレートに貼り付けて計算していたのです。会社のトップが月に4時間ほどこの作業に取り組んでおり、負担を軽減するために何とかできないか相談を受けたそうです。
kintone上でデータを整理するためには複数のアプリ間で集計を行う必要があります。そんな製品を探したところ、トヨクモが開発するDataCollectを見つけました。他社サービスとも比較したそうですが、料金体系がシンプルであること、既にトヨクモ製品を導入していることから、DataCollectの導入を決めました。
「DataCollectは、先に計算式を設定しておくだけで、社長が数値を確認したい時にボタンを押せば、kintone上で集計できるようになり、大幅な業務改善が実現できました」(山本氏)
散在するスプレッドシートのデータをkintone+DataCollectで一元管理可能に
DataCollectの運用は、開発管理業務の集計作業にも活用されています。山本氏が、前任者から開発管理業務に含まれる予実管理業務の引き継ぎを行った際、大きな課題に直面したと言います。引き継いだのはいいものの、当時は、実績(消化予算)報告をスプレッドシートで二重三重の管理、転記作業の繰り返し、過去のストック情報を探すのに一苦労と、課題が山積みだったそうです。
そこで山本氏は、散在したデータをkintoneで一つにまとめて管理をすることにしました。しかしスプレッドシートからkintoneへの大きな運用変更は、すぐに受け入れられるものではなく、社内メンバーからは「大量のデータがあるのに、移行が面倒だなぁ」「今いるメンバーで困ったことはないし、そんなに劇的に変わるの?」と言った声が挙がっていました。
山本氏は、課題から洗い出し、継ぎ足しで作られたシートや数値の目視チェックと修正も込みとして成立していた集計作業を改善できないかと、DataCollectで改善することを決めました。
DataCollectを活用し、予実(予算消化)集計をワンクリックで行うことができるようになり、スプレッドシート上で集計する時間がゼロに。また次期の予算申請の際の資料作成の時間を削減できたそうです。さらに、見積承認がいつ行われたのか一目でわかるようになり、開発スケジュールを立てやすくなったと言います。
ボタンワンクリックで、数値を可視化することができるようになりました。
「大幅な運用の移行後、私は開発管理業務から離れ前任者へ業務をお返ししていますが、kintoneに移行する前は『スプレッドシートでも良いのでは?』と考えていた彼女も、今では『kintone無しでは考えられない』と言ってくれるほどになりました」(山本氏)
kintoneアカウントを持たない外部ユーザーとの情報共有は、kViewerでセキュアに実施
「kViewerは最後に導入しました。トヨクモさんのホームページで見かけ、もともと製品についての知識はありました。そんな中、kintoneに入っている顧客リストの情報を社外の人に見せたい、というニーズが出たのです。顧客名は出さないのですが、業務を依頼している会社と顧客(サイト)ごとの作業進捗を共有するためです。しかしセキュリティーの問題ですべての情報は公開できない、且つkintoneアカウントを付与するわけにもいきません。そこで、kViewerのビューを活用して、情報を共有することにしました」(山本氏)
他の会社と共同セミナーを開催する際も、kViewerを活用しているそうです。アンケート結果はFormBridgeで取っているので、kintone内に自動的に入ってきます。しかし、相手はkintoneアカウントを持っていませんし、生データを渡すのも避けたいところです。そこで、kViewerのビューを加工し、名前などがわからないようにしたうえで、感想などの情報を共有しているのです。
ある時、山本氏が他の営業メンバーがとても手間のかかる作業を行っているところを目にしました。その人は、社長に当月の状況を説明する際に、Excelを駆使していました。棒グラフに折れ線グラフを重ねるなど、kintoneの基本機能では対応できないグラフを使いたいため、CSVですべてのデータを吐き出して、Excelで整形してグラフを作成し、それをPowerPointに貼り付けてプレゼンしていたのです。この作業にも毎月4時間を費やしている状態でした。
「CSVを引き出して手元で加工とかしなくても、kintoneとkViewerを使えば実現できます。『高度なグラフビュー』が使えるプロフェッショナルプランにアップグレードして、あなたの作業時間を短縮しましょう、という話をしました」(山本氏)
高度なグラフビューで、2軸のグラフも表示することが可能になりました。
Toyokumo kintoneApp認証機能で、ユーザーごとに情報共有が可能に
実は、山本氏にはToyokumo kintoneApp認証を利用して、顧客のマイページを構築したい、という希望がありました。しかし、それだけでプロフェッショナルプランへのコースアップが憚れたため、営業担当の課題が出てきたので、「これはいい機会だ」とアップグレードしました。そのおかげで、ユーザーごとに情報を管理して共有する「ユーザーマイページ」の仕組みを作成できたとのことです。
ユーザーマイページを作成する前は、バージョンアップ情報をメールでお知らせしていたそうです。その際は、メールを読んでもらえなかったり、直前で改善依頼が営業担当宛に来ていたそうです。さらに、オプション追加など、サービス内容変更の申し込み、告知メールを受け取るメールアドレスの追加・変更などは営業担当に個別にメールやチャットで連絡が届き、それらを社内で情報共有するのに抜け漏れやタイムラグが発生していたとのことです。
「ユーザーマイページを運用することで、お客様自身のタイミングで情報を確認でき、各フォームから直接kintoneに情報登録していただくことで情報が早く正確になり、開発部やカスタマーリレーション部に情報が届きやすくなりました。また営業担当の対応時間もより有効に使うことができるようになりました」(山本氏)
ユーザーマイページは、kViewerのリストビューを活用し、kintoneで管理する「サービスご利用状況」をユーザーごとに確認できるページとなっています。ユーザーマイページのヘッダーやフッターに、HTML/CSSを記述することで、各申し込みフォームやビューへ遷移させるように見栄えも工夫されています。
顧客ごとに情報を管理できるユーザーマイページです。
kViewerの設定画面です。ヘッダー/フッター部分をHTMLで記述しています。
また、ウィルビーの開発ロードマップのビューも用意しました。広報用に公開しているものではなく、契約してる顧客だけに見せる細かい開発ロードマップを確認できます。配布資料も必要に応じて、自分でダウンロードできるようにしました。また、コンタクトフォームも用意されており、登録内容の変更など、従来は営業担当に行っていた連絡が直接カスタマーリレーションチームに届くようになり、スムーズに対応できます。
最後に今後の展望についてお伺いしました。
「今後、Toyokumo kintoneApp認証を使ったユーザーマイページを広げていきたいと思っています。ロードマップを見てお声かけいただくなど、手ごたえはあるのですが、どのくらいの効果が出ているのかも考えなければいけません。今後はGoogleアナリティクスと連携させてデータを取り、次の改善の参考にしていこうと思います。私はプログラムが書けないのですが、ノーコードでユーザーマイページシステムのようなものを構築したり、kintoneでやりきれない集計やグラフ化を実現したりできるというのは、トヨクモ製品の大きな魅力だと思います」と山本氏は語ってくれました。
記事公開日:2024年2月16日
※事例記事の内容や所属は取材当時のものとなります