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株式会社東京ドーム様

東京ドーム社がkintoneの導入でペーパーレス化を実現、業務量を20分の1に削減した!


株式会社東京ドーム(以下東京ドーム社)は、誰もが知る東京ドームをはじめ、東京ドームシティ アトラクションズやLaQua(ラクーア)などを運営管理している、創業1936年、従業員数888名(2020年1月末時点)の企業です。

東京ドーム社では、毎年1~2月に「ふるさと祭り東京」や「テーブルウェア・フェスティバル」などいくつかのイベントを企画・開催しています。イベントの運営というのは、とにかくやることがたくさんあり、残業が当たり前になっていることが多い業種です。さらには、東京ドーム社では、全国各地の出店者とやりとりする際、紙を郵送やFAXでやりとりしていたため、輪をかけて膨大な業務が降り注ぐという課題がありました。

2019年春、まずは残業削減という目標を掲げ、kintoneとトヨクモ製品を導入。6~9割ものペーパーレス化を実現し、月数十時間もの残業時間をカットしました。さらには、2020年コロナ禍でのECサイト運用にもフォームブリッジやkViewerを活用し、業務量を20分の1にダウン。拾得物管理の業務フローもリニューアルしました。

今回は、kintoneとトヨクモ製品の導入から2年も経たずに大きな業務改善を実現した株式会社東京ドーム マーケティング戦略部 マーケティングコミュニケーショングループ課長代理 望月秀吉氏と、システム構築を支援した株式会社ミューチュアル・グロース セールスプロモーション部 部長 澤田周五郎氏にお話を伺いました。

株式会社東京ドーム マーケティング戦略部 マーケティングコミュニケーショングループ 課長代理 望月秀吉氏


株式会社ミューチュアル・グロース セールスプロモーション部 部長 澤田周五郎氏


導入■膨大な申請管理業務を効率化するためにkintoneを導入した


東京ドーム社が手がける「ふるさと祭り東京」は全国各地の祭りや美味しいものが集結し、例年、40万人以上が来場する大人気イベントです。すでに12年以上の歴史があり、近年では約1000社が出展しています。しかし、この1000社から手書きの紙やFAXで申し込みや申請を受けて処理をするのは、たった2名の社員と数名のアルバイトのみ。当然、残業してカバーすることになります。

望月氏は、残業の多い状況をなんとかすべく、様々なツールの情報を集めていました。そんな中「Cybozu Days2018」で「kintone AWARD」を見たそうです。

kintone AWARDとは、全国で行われるユーザー事例共有イベントkintone hiveで選ばれた企業が集結し、グランプリを決めるイベントです。kintoneを導入することで企業課題を解決する事例を目の当たりにした望月氏は求めていたものはこれではないか、と感じたそうです。そこで、上司をサイボウズ社に連れて行って一緒に話を聞いたり、無料のお試しにチャレンジするなどして、2019年、kintoneを本格導入することになりました。

お問い合わせ管理と顧客マスターのアプリなどは自分で作成できたそうですが、一番負荷の大きい申請管理業務をアプリ化するには、出店者ごとにマイページを作り、フォームから申請してもらう必要があります。標準機能では無理なことはわかっていましたが、どんなプラグインを使えばいいのかはわかりません。

望月氏の座右の銘は「餅は餅屋」です。そこで、kintoneのプロに頼もうとサイボウズへ相談しました。いくつかのパートナー企業を紹介してもらい、話を聞いた上で依頼したのが株式会社ミューチュアル・グロースでした。

「kintoneのパートナーさんって様々な方がいらっしゃって、アプリを1個作っていくらというスタイルだったり、カスタマイズ領域を増やす事でご要望に対応します、というところもあります。今後は自分たちで運用していく必要があるので、難しいことはやりたくありませんでした。初心者が運用することを前提に進める必要もあります。そこで、運用や業務改善を含め、一緒に改善していきましょう、というスタンスで提案をしていただいたのが、ミューチュアル・グロースさんでした」(望月氏)

「出店者さんがとても多いうえ、イベントが1~2月に集中しているので、今のリソースでは残業でカバーせざるを得ないという状況で困っている、と伺いました。このアプリを作ってください、というダイレクトなお話ではなく、今困っている状況にどうアプローチしていくべきかというご相談でした。 当社は、開発のみにフォーカスせず、運用面での検証や開発したアプリへのフィードバックを適切に反映する事が重要だと考えています。 kintoneは運用しながらお客様自身でも改善がしやすいツールですので今回のご要望には最適であったと思います。

あとは、個人的なことですが、私は学生の時に東京ドームのイベントスタッフをやっていたことがありまして思い入れがあります。」(澤田氏)

活用■フォームブリッジとkViewerの導入で作業量が6~9割削減、業務効率を大幅改善


従来、出店者の申請には紙を利用しており、FAXや郵送でやり取りをしていました。一部、Excelやメールでやり取りすることもあったのですが、人の手で転記していたので、どちらにせよ抜本的にやりかたを変えなければなりません。

そこで、kintoneを使って出店者ごとのマイページを作成し、フォームから情報を入力してもらうことで、紙やFAXのやりとりや人の転記作業をなくすことにチャレンジしました。ここで採用したのが、フォームブリッジkViewerです。

選定の理由については、「当社も設立以来、kintoneの開発をやっていますが、やっぱり、外部との情報連携だと、トヨクモさんの製品がぴったりです」と澤田氏は語ってくれました。

2019年5月ごろに相談があり、8月に開発がスタートしました。申請は10月中旬くらいに始まったので、2ヶ月強というスピード開発です。kViewerで出店者のページを作り、フォームブリッジで情報を入力してもらう出店者申請フローができました。

「圧倒的に紙がなくなったのが大きな効果です。イベントにもよりますが、6~9割削減できました。入力作業がなくなったので、作業ボリュームも減りました。1人当たり、毎月何十時間も残業が減りました」(望月氏)

申請に加えて修正もFAXでやりとりしていたので、どの紙が最新なのか分からず、データが古いままになっているという紙運用あるあるもなくなりました。

フォームブリッジで出店者情報を入力するフォームを作成しました。


kViewerで申請した内容を確認できます。


さらに、出店者1000社全体にメールを送ることがあるので、kMailerも導入しました。必要な情報を差し込み、一発で送れるようになり、ここでも大きな業務改善ができたそうです。

紙の運用をkintoneに切り替え、ペーパーレス化を実現したのですが、出店者の約8割もの人たちが「すごくよくなった」と言ってくれたそうです。
2020年春、新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が出されました。その影響で、人の動きが止まり、出店者の会社が大きなダメージを受けました。そんな出店者を支援すべく、東京ドーム社は「ふるさと祭り東京」というブランドを活かしたECサイトを立ち上げ、販売機会を提供することにしたのです。

ECサイトの運用は初めてなうえ、メンバーの全員がkintoneを使えるわけではありませんでした。そのため、Excelやメールでオペレーションを構築し、そののちにkintone化しようと考えていたそうです。

しかし、オープン初日、その目論見は崩れます。夕方にその日の売り上げを締めて、ショップに報告するのですが、購入者や発送先は個人情報なのでパスワードで保護する必要があります。そのため、ECサイトからCSVファイルに出力し、Excelに貼り付け、パスワードをかけて保存し、出店者それぞれにメールで送るのです。この作業に3人がかりで6時間もかかってしまい、そのうち改善しようなどという悠長なことを言ってられなくなりました。

望月氏は、すぐにkintoneアプリを作成し、ECサイトから出したCSVを取り込み、出店者ごとに分けた情報をkMailerで送れるようにしました。kMailerではパスワードの設定ができるので、ほぼ作業を自動化できます。

翌日、作業時間は2人で2時間に短縮できました。その後も改善を重ねました。出店者が購入者に発送したら伝票番号をメールでもらっていたのですが、それをフォームブリッジとkViewerで入力してもらうようにしました。売り上げデータを渡すのも、kintoneからkViewerに表示するようにしました。その改善効果は即日反映され、3日目には1人で2時間、4日目には1人で1.5時間、1週間後には1人で1時間もかからなくなったのです。
当初の所要時間から計算すれば、約20分の1の業務量になりました。現場でスピーディーに改善していけるkintoneを最大限に活用している驚くべき事例です。

拾得物管理もkintoneでペーパーレス化しました。もともと、落とし物が届けられればノートに書き、イベントが終わったらインフォーメーションに渡して管理していました。そのため、イベントが終わるまではインフォメーションに落とし物の情報がありませんでした。

kintoneアプリに拾得物の情報と写真を登録し、kViewerで閲覧できるようにしました。インフォメーションにはkintoneが導入されていないためです。

申請管理と比べればシンプルなアプリですが、以前できなかったことができるようになり、お客さまに不便をかけなくなるのだから導入効果は大きいと言えるでしょう。

拾得物の管理もkintoneアプリ化しました。


最後に今後の展望を伺いました。


「現在、kintoneはイベント部署でしか導入されていません。今後、蓄積したノウハウを社内の他のセクションに伝えて活用してもらい、課題解決に役立ててもらいたいと考えています。その際には、トヨクモ製品を積極的に使っていきたいと思っています」と望月氏は語ってくれました。