業務の属人化を解消したことで作業工数が10時間→30分に!建設業界の常盤工業が実現したDX化
常盤工業株式会社は、創業から100年近くに渡って、建築事業や土木事業、建物再生事業、住宅事業など、人々の暮らしに貢献してきた会社です。
同社では、工事に関する様々な情報の管理を既存のデータベースソフトで行なっていましたが、「データベースの修正対応ができる人が限られていた」「データの同時編集ができず、作業効率が下がっていた」など、いくつかの課題が見えるように。そういった状況を改善するため、2021年10月頃にkintone、2023年5月頃にトヨクモkintone連携サービスを導入し、業務効率化に着手しました。
本記事では、常盤工業株式会社 営業本部 営業部の石黒 順子氏にお話を伺いました。
属人化による業務の停滞を解消するためにkintoneを導入
常盤工業では、各部門で様々な工事を同時並行しており、kintoneの導入以前は、工事情報や顧客情報、業者情報を既存のデータベースソフトで管理していました。さらに、各種工事と顧客それぞれを結びつける作業についても、既存のデータベースソフトで実施していました。
▲以前、各種情報の管理のために運用していたデータベース
しかし、運用していたソフトの専門性が高かったために作業が属人化してしまい、データベースの修正が必要になった際に、データベース作成者以外が対応することができない状態に。また、データの同時編集ができなかったため、誰かが操作をしているときはそれが終わるまで作業の開始を待つ必要があったとのこと。常に複数の工事が並行している同社にとって、この無駄な待ち時間は悩みの種に。この問題により、入力された情報の重複があったり、データをある程度溜めてからまとめて入力していたりなど、同時編集ができないことによって、様々な問題が発生していました。
加えて、既存のデータベースソフトの情報をExcelやWordに転記する手間にも悩まされていました。情報の転記だけでも、一定の時間が取られてしまうようになっており、限られた業務時間が圧迫されるようになっていたそうです。
▲過去に運用していたデータベースから会議で報告する情報を抽出する様子
▲抽出した情報をExcel上で会議資料用に集計し、見せ方を整えている様子
それぞれの課題を解決するために、業務効率化ツールの導入を検討開始。以前に活用していたソフトは運用の専門性が高かったため、ツールの選定では「自社で使いこなせるか?」という観点を重要視されていたそうです。また、会社の経費の観点から、コストを抑えた上で全社員の作業を効率化させることも、ツール選定の条件の1つ。数あるツールの中から、必要な機能だけが揃っていながら、足りない部分は後からプラグインで補うことが可能なkintoneを導入しました。
既存のデータベースソフトでは同時編集ができないこともあり社員同士で「今から私が作業するから、少し待ってて」といちいち声かけをする必要がありました。とにかく、作業全体が非効率な体制となっており…。この状況を変えるには、既存のデータベースソフトの利用を継続したままでは難しいと考え、新規ツールの検討を進め、最終的には。操作性や価格面など、いくつかの観点からkintoneを導入しました。(石黒氏)
書類作成やデータ入力・管理を効率化するためにトヨクモkintone連携サービスを導入
kintoneの導入により、業務効率化が大きく前進したことで、今までは解決できなかった課題への取り組みも本格的にスタートしました。
【PrintCreator導入】
まずは書類の出力。社内で作成する書類について、以前から統一のフォーマット自体はありました。しかし、サーバーからデータを読み込む手間があることによって、各々の社員が自分のPCに保存して運用する体制だったそうです。
弊社としてはペーパーレスを推進しているんですが、業界的にまだまだ書類での対応が求められる場面が少なくありません。そのため、お客様へお渡しする注文書など、社内で作成する各書類には一応フォーマットが用意されていました。しかしそれを利用するためには、サーバーからデータを読み込む必要がありました。その作業にかかる手間が、日々積み重なっていました。結果的に、社員それぞれが自分のパソコンのローカル環境でフォーマットを管理するように。フォーマットがアップデートされることもあるため、人によって所有しているフォーマットにズレが生じるようになりました。(石黒氏)
▲社内で管理していた各書類のフォーマット
▲お客様へお渡ししてご記入いただく書類
状況を改善するためには、全社で統一の書類フォーマットを運用できるようにすること、そして、全社員がスムーズに書類を作成できるようにすることが必要でした。そこで採用されたのがPrintCreator。
導入後、kintone内の情報を使って簡単に書類が作成できるようになり、フォーマットも統一されました。
【FormBridge・kViewer導入】
書類のフォーマット以外に課題となっていたのが、社用車の走行距離と給油量などの管理。同社では以前から、燃料消費量やC02の排出量を減らすための取り組みを行っており、その一環として給油量と走行距離を記録し、km/Lで走っているか可視化する、というルールがありました。
以前までは、そのデータの管理をアプリを活用して行っていましたが、そのアプリのサービスが終了することに。データ管理の代替案として、候補に上がった方法がExcelでの管理。しかし、1つのシートを100名を超える社員に共有し、それぞれが情報を打ち込むとなると、運用にも手間がかかり、正確な情報の管理も簡単ではありません。
▲給油量や走行距離を記録していたExcelのシート
この課題を解決するため、FormBridgeとkViewerが導入されました。
トヨクモkintone連携サービスの導入は、当初から想定していたものではありませんでした。kintoneを導入してある程度使いこなせるようになってきたタイミングで、kintoneをさらに有効活用できる体制を整えたいなと感じるようになったんです。そこで、予算感も考えながら各種プラグインの導入を進めることに。
また、kintoneのライセンスについても、会社としての都合もあり導入時点では5名と限られていました。導入後も、新しいツールを利用することに対する抵抗感がなかなか拭えず、社内への普及が滞っていたところもあります。
しかし、kintoneライセンスを持たない人でも活用できるFormBridgeやkViewerの導入により、エコドライブに関する一連の作業が効率化できたことをきっかけに、kintoneの有用性が全社に浸透しました。(石黒氏)
導入前、無料お試しも行いましたが、ヘルプページが充実しているだけではなく、活用方法などに関するお問い合わせをしても、翌日には返信が届いている状態に。機能面はもちろん、サポートの対応でも安心感があったことも、導入の後押しになり、今でもその印象は変わらないそうです。
トヨクモkintone連携サービスの機能だけではなく、トヨクモさんのサポート体制にも感謝しています。ツールの全社展開を進めるほど、少なからず社員からの疑問や不満が届くようになります。それらについて相談すると、電話ですぐに解決策を提示いただけるんです。ツールとしての成果とサポート体制、どちらにも大変満足しています。(石黒氏)
トヨクモkintone連携サービスの活用で、情報の一元管理や運用の効率化を実現
ー情報提供システム(常昇会)の管理(FormBridge×kViewer)
同社では、工事請け合いを増やすことを目的とした情報収集意識を高める為に「常昇会」という案件情報提供システムがあります。情報案件は全社員に提供してもらうため、FormBridgeとKviewerを活用し情報提供から結果報告までを管理する仕組みを構築しました。
まず、FormBridgeで作成した「情報提供入力フォーム」から、物件区分や予定金額、そしてお客様氏名などの情報を入力。その際、kintoneのマスタデータを参照できるように、kViewerルックアップを利用し、設定しました。また、転記ミスが発生しやすいと考えられるフィールドは、マスタデータを参照して入力できるように設定されています。
▲FormBridgeで作成した情報提供入力フォーム
kViewerとFormBridgeを導入する以前は、別のプラグインを活用していたそう。しかし、あらためてその製品と、トヨクモkintone連携サービスとで、それぞれできることの洗い出しを行ったところ、kViewerとFormBridgeであれば、希望していたことを全て実現できることが判明。さらに、当時活用していたプラグインではできない機能も備わっていたため、乗り換えを決定されました。
▲情報提供入力フォームでは、kintoneのマスタデータを参照して入力できるフィールド(kViewerルックアップ)を設置
「情報提供入力フォーム」に入力されたお客様氏名やステータスなどの情報は、kViewer上でリスト表示されます。そのうえ、情報提供者や案件担当者といった条件での絞り込み検索もできるようになり、必要なデータの抽出も手軽にできるようになりました。
▲情報提供入力フォームで入力された情報はkViewer上に表示
さらに、別途FormBridgeで作成した「結果入力フォーム」から、受注や失注など営業結果の回答も登録可能になっています。
▲FormBridgeで作成した結果入力フォーム
FormBridgeをはじめとするトヨクモkintone連携サービスを導入したことで、作業効率の改善、作業ミスの削減などで大きな効果が出ました。作業効率の面では、私がそれまで担当していたデータ登録の作業工数が、1週間あたり、10時間から30分にまで短縮されました。
また、以前は発生していたデータの見せ方の調整やメールのラリーが、今ではほぼ0に。フォームから入力された情報がkintoneに蓄積され、それをベースに作業できるようになったため、手間がかなり少なくなったと感じています。(石黒氏)
ー社用車の走行距離や給油量などの管理(FormBridge)
以前までは、走行距離を写真で撮影する、もしくは手書きのメモで残し、Dropbox内のファイルを開く。そして、手元に残しておいたデータを自分のシートに入力するという流れだったため、無駄な手間が発生していました。
▲以前は、給油量や走行距離をスクリーンショット等で管理
その後、FormBridgeの導入により、入力フォームに、社員CD、給油日、オドメータ、給油量といった必要な情報を入力できるようになったそうです。このフォームに入力することで、自動でkintoneに情報が蓄積。燃費も自動で計算されます。
▲FormBridgeで作成した給油量などを入力できるフォーム
FormBridgeの導入によって、登録完了までのフローが1/3ほどに短縮。さらに、社用携帯からの登録もできるようになったことで、ガソリンスタンドでの給油後その場で登録が可能になり、入力漏れの防止にも繋がりました。(石黒氏)
今後はトヨクモkintone連携サービスで業務効率化の規模を拡大を目指す
各種ツールの導入により、業務効率の改善を実現した常盤工業。PrintCreatorでは、書式の統一が可能な点や、kintoneにて管理されている情報をそのまま使える点。kViewerでは、FormBridgeと連携できる点を、それぞれのツールの魅力と挙げます。
これまで、業務の各所で発生していた無駄な作業が、kintoneとトヨクモkintone連携サービスを導入したことで大幅に削減できた実感があります。書類についても、PrintCreatorで誰でも手軽にフォーマットを活用して、ルールに則ったものを作成できるようになりました。また、FormBridgeとkViewerのおかげで、情報入力や管理もラグなく対応できるようになり、入力漏れや情報の重複も激減。導入した成果が、はっきりと出ていると思います。今後は、kViewerやFormBridgeをさらに活用して、誰でも簡単にkintoneに情報を入れられる仕組みを整えたいと考えています。そして、社内の情報を一括で安全に管理できるよう、今以上に情報集約を進めていきたいです。(石黒氏)
記事公開日:2024年9月30日
※事例記事の内容や所属は取材当時のものとなります