FormBridgeとkViewerはkintoneに不可欠!新幹線の整備でのアプリ活用と業務改善の可能性
より安全で快適な東海道新幹線の旅を利用者の皆様にお届けするため、新幹線内および駅構内のドレスアップを行う新幹線メンテナンス東海株式会社様。ドレスアップに対する業務改善に積極的に勤しむ一方、バックオフィス業務についてはアナログ化や属人化が大きな課題となっていたといいます。
解決への糸口となったのが、kintoneとトヨクモのkintone連携サービス『FormBridge』『kViewer』『PrintCreator』との出会いでした。
今回は、システム導入自体に課題を感じていた新幹線メンテナンス東海が、なぜkintoneとトヨクモのkintone連携サービスを選んだのか、導入までのプロセスや導入効果について、情報デジタル推進部の朝田様にお話を伺いました。
※ドレスアップ:東海道新幹線車両や駅・事務所、基地の建物・施設等の整備
業務課題の根本はアナログな業務管理と属人化
従来から踏襲されていた紙、電話、ファックスといったアナログな手段がメインとなっていたという新幹線メンテナンス東海のバックオフィス業務。改善を図ろうにも、各部署で使用していたシステムは「「PCが得意な担当者に負担がかかっていたため、部署異動や退職などによりいなくなると、途端にやり方がわからなくなる、といった課題に陥っていました。
「担当者がいなくなるとメンテナンスができなくなり、また新たなフォーマットで運用を始める、という流れが常態化していました。システム面が属人化していたのです」(朝田氏)
そんな中、ある業務のシステム化について外部企業に相談したところ、kintoneを進められたという朝田氏。当初はクラウドサービスの導入は難しいと考えていましたが、kintoneについて調べていくうちに、面白いシステムだと感じるようになったといいます。
kintone hive参加が導入の大きな足がかりに
そうして足を運んだkintone hiveで目にしたのは、ライブ会場で共有される多様な事例の数々でした。
「これはすごいと思いました。弊社も社内で、他部署の業務改善事例を共有する場を設けていましたが、kintone hiveのようにライブイベントさながらに成果を発表する機会があればもっと良い方向に変わるだろうと思ったんです」(朝田氏)
こうして数回kintone hiveに通っていると、あることに気づいたといいます。
「FormBridgeとkViewerの名前が多くの事例に登場していることに気づいたのです。確かに外部企業やパート、アルバイトまで情報共有や取得の範囲を広げようとすると、登場人物全員にアカウントを付与するのは現実的ではありません。事例発表を聞けば聞くほど、kintone活用にFormBridgeとkViewerは必須だと感じるようになりました」(朝田氏)
その後、社内でDX推進の機運が高まるとともに、現在の情報デジタル推進部への異動が決まった朝田氏は、上司にkintone hiveへの同行を願い出たそうです。
「事前に発表時の動画を見せましたが、実際に現場を体感してもらったほうがいいだろうと、上司と一緒に参加しました。発表を聞きながら、弊社ならこういうことができるだろうと私の考えを伝えたところ、上層部にも掛け合ってもらうことができ、導入に至りました」(朝田氏)
※ kintone hive:kintoneの最新情報やユーザーによる活用事例発表会など情報共有を目的としたkintoneのライブイベント。
Toyokumo kintoneApp定着のポイントは一人ひとりへの声かけと成功体験作り
こうして2021年からkintoneとともにFormBridgeとkViewerを導入した新幹線メンテナンス東海は、今ではkViewerで月間40,000件~50,000件、FormBridgeだと月間10,000件の利用があるといいます。
なぜここまでkintoneとFormBridge、kViewerの活用が定着しているのかを伺ったところ、工夫ポイントについて教えて下さいました。
「最初は、楽しみながら各システム使ってくれそうな社員に、個別で使ってほしいと声をかけました。声を掛けるだけではなく、現場でどういう風に活用できるといいだろうというのを一緒に考え、作成までフォローすることを心がけました。こうしてkintoneやトヨクモのkintone連携サービス活用による業務改善の可能性に気づいてくれた社員が、現在自発的にアプリを作ってくれているという状況です」(朝田氏)
彼らを通して、アプリの有用性に気づいた社員が少しずつ増えていった結果、徐々に社員の行動が変化したといいます。
「これまでは『システムの得意な人しか業務改善できない』という雰囲気が社内にはありました。しかし今では職種の枠を超え、社員が自分事として業務を捉えながら、スピーディーかつ自主的に改善行動を取れるようになりました」(朝田氏)
FormBridge・kViewer・PrintCreatorを使った多彩な6つの活用事例
ここからは実際にどのようにご活用いただいてるのか、事例をもとにご紹介いたします。
【活用事例1】FormBridgeによるアンケートの作成簡素化で業務改善が加速!
<導入前>
新幹線メンテナンス東海では業務や職場環境改善の観点から、さまざまなアンケートを実施しています。新幹線メンテナンス東海ではこれまで、紙で社内向けアンケートを実施していました。
「これまでのアンケートは投票箱に投稿するスタイルだったので、一つ一つ集計し、手入力でデータに起こすという作業が必要でした。さらに回答様式は毎回異なっていたり、報告資料ごとにデータの見せ方を変えたりと、細かな作業が発生していました」(朝田氏)
<導入後>
しかしFormBridge導入後は、掲示されたFormBridgeのフォームURLのQRコードを社員が読み取り、各自のスマートフォンからアンケートに答える流れが日常の風景になったといいます。
「FormBridgeで行えば、収集したデータは自動でkintoneに保存されますし、吐き出したcsvをExcelに変換すれば資料への転記なども簡単に行うことができます」(朝田氏)
▲業務に関する提案を受け付けるフォーム。
これまでは紙で提出されていたが、FormBridgeの活用により、データ集計が可能となりました。
内容が変わっても、アンケート自体の作成フローは変わりません。
kintoneアプリを作り、FormBridgeと連携し、公開フォームのURLをQRコードに生成して募集、その後情報収集という作業の流れが社員の中で定着しているといいます。
▲事業所内の表彰で使用されているFormBridge画面。スマートフォンから簡単に入力できるようになっている。
【活用事例2】FormBridgeで社内競技会の参加者からの応援メッセージを手軽に見える化
またFormBridge導入を機に、新たに生まれた取り組みも。新幹線メンテナンス東海では社員教育の一環として各種競技会を実施しています。FormBridgeは、そんな参加者それぞれへの応援メッセージを募集するという形でも取り入れられています。
「競技会終了後に、他の発表者に対する感想や応援の言葉をFormBridgeで作成したアンケートで集め、後日各メッセージを寄せ書きのような形に編集し直してお渡しする、という取り組みを今回初めて取り入れました。これはトヨクモさんのリアルイベントに参加した際の体験をヒントに取り入れたものです。寄せ書きは印刷して各発表者にお渡ししています」(朝田氏)
▲競技会の感想をFormBridgeで募集しkintoneに回答を集約。
▲フォームに寄せられた感想を寄せ書きのような形で集約し、発表チームへ手渡している。
具体的なフィードバックによって得られたメリットには以下が挙げられます。
・発表者は次回の発表に向けた改善点を明確に把握することができるようになった
・発表者に意見を直接伝える機会が生まれたことから、イベント全体が活発になった
・参加者同士や発表者との間で意見交換が増え、新たなアイデアや改善点の発見が生まれやすくなった
「なにより、自分の発表に反応があることはうれしいことですから、社員も喜んでくれているのではないかと思います」(朝田氏)
【活用事例3】FormBridgeで現場からドレスアップの状況を入力!
トヨクモkintone連携サービスは、普段の業務にも活用されています。
これまでは現場の班長が事務所に戻ってドレスアップの状況を入力をしていたのですが、一度紙などにメモをしておく必要がありました。しかしFormBridgeを活用することで、現場にいながらタブレットやスマートフォンから登録することが可能になりました。
「規程上、スマートフォンやタブレットにkintoneアプリを入れるのは難しい状況でした。そこでkintoneアプリなしでも入力が可能な、FormBridgeによる入力という方法を取ったのです。
班長には比較的年輩の方もおりますので、誰でも簡単に入力できるよう、項目をシンプルにするなど工夫しました。フォームは作業箇所ごとに用意しており、各列車編成ごとに入力された情報を一元管理できるようになっています」(朝田氏)
▲外板のドレスアップの状況を入力するフォーム画面。スマートフォンからもアクセス可能。シンプルで迷わないように各質問項目が用意されている。
また、今後の労働人口減少を踏まえ、kViewerもドレスアップ(車両整備作業)の作業管理ページとして一役買っています。
新幹線のドレスアップといっても、ボディー(外板)やガラス部分、新幹線内の座席部分など、対象となる箇所は多岐にわたります。また東海道新幹線は東京から新大阪、山陽新幹線を含めると博多まで走っていることから、ドレスアップする会社も作業日も車両ごとに異なることがあります。
例えば新幹線の外側のドレスアップは全車両を一気に行うのではなく、列車ごとおよび車両ごとに日を分けて行われます。そのためどの車両をいつ、どこでドレスアップしたのかを記録しておかなければなりません。
こうした観点から、どの作業を誰がいつドレスアップしたのかなどをkintoneで情報を管理し、kViewerで公開することで、業務効率を高めているそうです。
▲(左)各車両ごとのドレスアップの作業日や経過日数などをkintoneで一元管理。(右)kViewerで実績を共有できるページを作成。
現在は社内のみで情報共有しているものの、今後は走行エリアに点在する各地の整備会社にも展開することで、さらなる効率化を目指したいといいます。
【活用事例4】kViewerで通勤バスの運行時刻を共有!電話での問い合わせ工数がほぼゼロに
トヨクモkintone連携サービスを幅広くご活用いただいている中でも、特に社員に活用されているのが新幹線の車両基地に向かう通勤バスの運行時刻表アプリだといいます。
<導入前>
「車両基地の場合、それぞれが現場に車で向かうといったことはできないので、通勤バスを運行しています。ただ、一般のお客様向けに走らせているものではないので、電話で問い合わせないとダイヤがわからなかったのです。
<導入後>
そこでkViewerを使って時刻表とカレンダーを共有することにしたのです。
(取材を受けている午前中の段階で)今日だけで56件のアクセスがありました。
いつでも自分の好きなタイミングで見れるようになったので、電話の問い合わせはほぼなくなったと思います」(朝田氏)
【活用事例5】FormBridgeで備品使用量を申請。kViewerでフォームの使い方を詳細に説明
またFormBridgeは備品管理にも活用されているといいます。
<導入前>
使用する備品が多岐にわたる新幹線メンテナンス東海では、これまで紙で備品管理を行っていました。
「各事務所で備品使用管理表を作成し、使用した備品の欄に正の字を書いて管理し、本社に報告するためにデータ化するという流れでしたが、集計が大変でした。さらに各事務所によって備品が異なることから全社共通のフォーマットではうまく管理できないため、どのようにすべきか悩んでいたところでした。
<導入後>
現在使用している備品使用量の管理アプリは、FormBridgeとkViewerを活用したものです。だれでも迷いなく活用できるよう、kViewerでフォームの詳細な使い方を説明しています。
▲FormBridgeで作られた備品使用量報告フォーム。入力内容はkintoneに集約されるので、備品全体が把握しやすい。
▲備品使用量申請フォームの使い方を細かく示したkViewer画面。kintoneに説明画像を登録し、その画像をkViewerで公開している。
また集計作業等の手間が改善できたので、現在は本社に確認の連絡をするだけとなっており、全体として業務効率化につなげることができました」(朝田氏)
【活用事例6】PrintCreatorのQRコード生成機能で出勤管理
新幹線メンテナンス東海では社員の出勤管理にもトヨクモkintone連携サービスが活躍しているといいます。それがPrintCreatorです。
PrintCreatorで発行したQRコードを社員証に印刷。
そして社員は出勤時にバーコードリーダーにQRコードをかざすことで、管理者側で社員のkintoneレコード詳細画面が開き、出勤記録がkintoneに自動入力されます。
▲kintoneの社員マスタ画面からPrintCreatorを利用してQRコードを発行。かざすだけで出勤状況がデータ化される。
※ 当事例はカスタマイズを利用しております。カスタマイズはサポート対象外です。
データ活用の可能性を広げるトヨクモkintone連携サービス
kintoneを導入するにあたり、朝田氏が重要視していた考えがあります。それはデータの流れと活用についてです。
「導入にあたって『データの流れを意識しましょう』というのは社内で話していました。私はデータは『入れる』『貯める』『活用する』という流れで使われていくと考えています。その中でkintoneはデータを『貯める』場所ですから、導入に際してデータをどのように入れて、どう活用するのかというのは考えておかねばなりません。
そうした中で、kintone hiveなどで活用事例を聞き、スマートフォンやタブレットにはkintoneアプリが入れられないとか、セキュリティの関係ですべての機能を使うのは難しいといったことは起こり得るだろうと思っていました。ではどうすれば『データを入れる』『活用する』ことができるのかを考えたときに、FormBridgeやkViewerの導入という選択肢が浮かんだことは、自然な成り行きだったと思います」(朝田氏)
これからkintoneを導入される方はもちろん、すでに導入しているものの、さらなる活用を検討したい方も、ぜひ一度トヨクモkintone連携サービスの無料お試し期間を利用してみてください。
記事公開日:2024年12月3日
※事例記事の内容や所属は取材当時のものとなります