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さくら製作所株式会社 様

社内の基幹システムをkintone x トヨクモ全製品で構築、業務改善と顧客満足度の向上を同時に実現した



 さくら製作所株式会社は、2014年に創業し、現在はワインセラーや日本酒セラーを国内向けに販売しています。従業員はパートを含めて約10名ですが、年間11~12億円を売り上げています。一般的なワインセラーは15度前後で保存するものが多く、シャンパン用でも5~6度となっているのが一般的です。しかし、さくら製作所の商品は冷蔵庫に近い機能を備えており、低い製品だとマイナス2度と低温になるものもあります。また、細かいピッチで精密に温度をコントロールできるのも特徴です。

  家電製品を販売しているので、アフターサービスを行うことになるのですが、その電話対応がアナログだという課題がありました。そこでkintoneとトヨクモ製品を導入し、IT化を実現しました。トヨクモ製品は、フォームブリッジkViewerプリントクリエイターkMailerデータコレクトkBackupのkintone連携サービス全製品をご契約いただいています。

 今回は、アナログのサービス部門業務をkintone×トヨクモ製品で大幅な業務効率をアップさせ、自社の工数軽減に加え、顧客満足度の向上まで実現した経緯について、さくら製作所 代表取締役社長 穂積氏とのセールスサポートチーム伊藤氏にお話を伺いました。

さくら製作所 代表取締役社長 穂積 亮雄氏とセールスサポートチームの伊藤 薫氏。


アナログ業務と顧客からのクレームを解消するためにkintoneを導入


  kintone導入以前は、電話で聞き取った個人情報を紙やExcelなどの台帳に記録していました。当然、入力ミスが発生します。万一、電話番号を間違えると連絡がつかなくなるので、顧客を待たせることになり、二次クレームに繋がることもあります。そのため、復唱などの確認作業も二重三重に行ったそうですが、それだけでは解決に至らなかったそうです。

  帳票作成にも課題があったそうです。見積書のフォーマットはあるのですが、入力ミスが発生していたとのことです。製品をプルダウンメニューから選択できるようにしても、選択ミスをしてしまったり、見積もり金額を間違って入力してしまうことがありました。そのため確認作業が発生し、帳票一つ作るのにも時間がかかっていたのです。ミスをしてはいけないというプレッシャーで従業員の心理的負担が大きいのもネックでした。

「手を変え品を変え、色々と取り組んできました。時には大きなシステムをスクラッチで組んでもらったほうがいいのかと考えることもありました。一次対応をするだけでなく、メールを共有化したり、データを一元管理したり、在庫から帳票を自動で出力など、実現したいことがたくさんありました。業務のフローは自分たちが1番よくわかっているので、私たちがシステムを作るにはどうすればよいのかと調べ始め、kintoneに行きつきました」(穂積氏)

プログラムの知識がなくても利用でき、連携するサービスが豊富で拡張性が高く、コストがとても安いといったポイントが決め手となり、kintoneを導入されました。属人的な作業の削減、スマホやタブレットでも閲覧・編集できるという点もメリットに感じたそうです。

kintoneでアプリを作るのは「思ったより難しくなかった」と穂積氏。まずは、アフターサービスの顧客情報を管理するところから運用をスタートしました。しかし、結局電話で聞き取ってからkintoneに入力する際の転記ミスが発生してしまいました。そこで、電話での聞き取り自体をやめよう、ということになったのです。お客様自身に情報を入力してもらうことで、転記ミスがなくなり、手間も減ります。そこでフォームブリッジを使い、Webフォームからの問い合わせを受け付けることで、一次対応を受け付けるようにしました。

コロナ禍の拡大が、急ピッチでkintone化を進めた要因の一つでした。さくら製作所もリモートワークを実施したのですが、アフターサービスを自宅で対応するのは厳しかったそうです。しかし、フォームブリッジで登録した情報がkintoneに自動で蓄積されていくため、転記ミスがなくなり、転記する工数や時間も削減できたそうです。 


修理・サービスの登録フォームです。


 「お客様に入力いただいた情報を修理アプリや製品交換アプリなど他のアプリに展開していき、情報を共有するだけで業務が進むようになりました。今では、電話でお問い合わせしていただいたお客様にも、まずはWebフォームに入力してもらうように誘導しています」(穂積氏)
 

修理を依頼する業者に渡す書類も、プリントクリエイターでワンクリックで出せるようにしています。データはkintoneに入っており、自動で情報を引っ張ってくるので転記の手間もミスもゼロになりました。


  もちろん、課題だった見積書もプリントクリエイターで出しています。PDFのテンプレートをアップロードして、出力したい部分を指定するだけなので操作が簡単です。帳票のフォーマットを差し替えることができる点など、プリントクリエイターの操作性の良さを評価していただきました。

見積書もkintoneの内容からワンクリックで出力できるようになりました。


任意のフォーマットへ出力を行うことが可能です。


  kViewerは修理会社にマニュアルを公開するために利用しています。クローズドな情報もあるので、ホームページに掲載することができないためです。以前は、郵送で印刷物を発送していたそうですが、いつでも必要なタイミングに確認できるようkViewerを導入しました。コロナ禍で、マニュアルを印刷するためだけに来社するということも避けたかったとのことです。

修理業者に共有されているマニュアルの公開ビューです。


  kintoneとトヨクモ製品を組み合わせることで、大きな導入効果が得られました。見積り作成にかかる時間は、以前の20分から1分に短縮され、問い合わせの入力時間もゼロになりました。


 「お客様からすると、電話が繋がらずに待っていた時間がフォームに入力できるようになったので、クレームが減りました。フォームに入力すると、フォームブリッジの機能である自動返信メールが送信されるので、そのメール内に対応策をお伝えすることができるのも便利です」(穂積氏)

フォームブリッジの「修理・サービスの登録フォーム」です。


 フォームから登録があった場合は、24時間以内に対応するようにしているそうですが、その前に入力いただいた情報を元に対処方法の案内を自動返信メールに記載しているのです。例えば、商品に「E6」というエラーコードが表示されていれば、温度センサーの不具合なので、電源を切らずにそのままにしてもらいます。自動的に30分冷やして30分停まる自動運転に移行するためです。従業員が連絡する前に、フォームに申し込んだ時点でこのような内容が返ってくれば、顧客も安心できます。


フィールドに入力された値によって、返信メールの内容を変えています。


kintone×トヨクモ製品群で業務効率化をアップさせ、従業員と顧客の満足度も向上した


 さくら製作所では、日々の業務で複数のトヨクモ製品を活用して運用されています。
  
kintoneの情報を引用して送信する際は、「kMailer」を利用されています。kintoneで見積り金額を管理し、別のメールソフトに添付や転記をされていたそうですが、手間やミスが発生していました。そこでkintone上からデータを引用して直接kMailerでメールを送信することで、転記ミスや手間を削減できたとのことです。

「本文の内容をテンプレートとして作成することができるため、送信時にどのテンプレートにするのか選択するだけで、メールが送信できます。また送信したログをkintoneアプリに残すことができるので、送信漏れがないか、後ほど確認することもできます」(伊藤氏)

  またkintoneには重要な情報を大量に保存しているため、万一に備えての情報のバックアップも必須です。そこで現在「kBackup」もご利用いただいております。これまでに販売店に卸すための製品データを誤操作で1か月分消してしまったことがあったそうです。通常は再入力する必要がありますが、kBackupを導入することで、削除してしまった大切なデータを復元することができ、データを削除してしまった時でもデータを保全できる安心感に繋がったとのことです。

 別アプリからの情報を集約、集計する場合は、「データコレクト」も利用されています。受注業務の単価や納品先情報を自動取得したり、受注台数の集計も可能となりました。

「kintoneでは、アプリ間の集計ができないので、データコレクトも重宝しています。例えば、販売店ごとにそれぞれ納品先と単価が異なるため、別のアプリから販売店さんのデータを引っ張ってこようとすると手間がかかります。データコレクトを利用すると、マスタアプリから一括してデータを引っ張ってくることができるので大変助かっています。1日に200台くらい納品することもあるのですが、以前はExcelで1件ずつ管理していたので大変でした」(穂積氏) 


家電量販店などに商品を納品する際は、データコレクトで納品先の情報をマスタアプリから引用し、売上金額などを集計することができるようになったそうです。


データコレクトで納品先情報と商品情報を集約しています。


現在は、伊藤氏が中心にkintoneとトヨクモ製品を活用されています。アナログだった業務から、がらっと業務フローを変えたことで、従業員の満足度が大きく向上したとのことです。

  kintoneアプリは相互につながっているので、自分だけが必要な機能を作っても仕方がありません。チーム全体で、この業務はどの業務とつながっているのかを考えながらアプリを開発するので、担当以外の仕事に関する理解も進んでいるそうです。kintoneアプリのつながりが人のつながりも育んでいるというのは素晴らしいことです。

「中小企業は、kintoneとトヨクモ製品を導入した方がいいと思います。特に有形商材を扱っているようなメーカーさんなどはkintoneとトヨクモ製品があれば、申請から共有、管理などの基本的なフローを全て行うことができると思います。カスタマーサポートで実施しているアンケート調査では、お客様の満足度も93パーセント以上と高く、デジタルの処理とスピーディな対応が実績としても現れています。楽をしたいとかではなく、売上を大きくしたり、サービスの満足度を向上したり、全体的にメリットがあります。業務を効率化できた分、製品の知識を身に付けたり、お客様対応にもう少し時間を割いたりすることができるようになりました」(穂積氏)


最後に今後の展望についてお伺いしました。


「今後は、お客様のマイページを構築したいと考えています。製品を買っていただいたお客様、修理の申し込みをされたお客様など、それぞれのお客様に見合った情報の登録や申請をkintoneとトヨクモ製品を活用して、展開していきたいです」(伊藤氏)

「現在の売上げは家電量販店などがメインですが、今後は来年の台湾を皮切りに海外に乗り出そうとしています。弊社はオンラインショップが圧倒的に強く、売上げの7割を占めています。今後は、オフラインのお店にも注力し、データを分析してエリアマーケティングにもトヨクモ製品を活用していこうと考えています」と穂積氏は語ってくれました。

記事公開日:2023年12月18日
※事例記事の内容や所属は取材当時のものとなります