テレビ放送業でのトヨクモkintone連携サービス活用事例〜番組制作現場での業務効率化からデータドリブンな経営を目指す〜
関西テレビ放送株式会社は、番組制作・放送を行う会社で、正確かつわかりやすい情報伝達や地域のニーズに応えたコンテンツ制作に取り組んでいます。
同社は、2020年にDX推進局を設立し、業務効率化を目的とした取り組みを開始。その一環として、2023年2月にkintoneを、同年4月にFormBridgeとkViewerを導入しました。現在では、DX推進局だけではなく、美術部をはじめとする各部署にも活用されています。
この記事では、関西テレビ放送株式会社 DX推進局の栗山和久氏、制作局 美術部の若松 英正氏に、トヨクモkintone連携サービスの魅力や活用方法、今後の展望について伺いました。
膨大な内製アプリの管理コスト削減と全社的なDX推進を目指し、kintoneを導入
関西テレビ放送では、70以上も存在する内製アプリの運用・管理が課題となっていました。kintone導入以前、同社では特殊な環境や幅広い業務に対応するため、アプリによる業務管理が求められていたそうです。例えば、深夜枠の番組を担当する社員は宿直して業務にあたるため、その手続きを行うシステムが必要でした。他にも、撮影カメラのバッテリーやスタジオのセットとして用いる美術品などの管理でもアプリを開発・運用しています。
アプリの運用では、バージョンアップによる移行対応が5年に1回発生。当時運用していた70以上ものアプリで移行対応を実施するのは、費用面とリソース面、どちらにも大きな負担となっていました。
そんな中、経済産業省がDX白書を公開したことが、業務効率化を進めるきっかけになったと栗山氏は言います。
国が、DXの重要度が高まっているというメッセージを発信してくれたことで、「このままではいけないな」といい意味での危機感を持ちました。設立から60年以上の月日が経過する中で業務が細分化されたこともあり、データの管理方法や業務フローなどについて、明確なルール化ができていなかったんです。このような現状に対して、グループ会社に内製アプリの開発を依頼するなどして対応してきましたが、次は業務アプリの運用・管理にも負担がかかるようになりました。そこで、部分的な対策ではなく、全社的にDXを進めることで、業務効率化の成果を最大化するために、DX推進局が立ち上がりました。(栗山氏)
こういった経緯でDX推進局による業務効率化がスタートしましたが、その一環として検討された製品がkintone。もともと、社内の一部部署ではすでにkintoneを活用していましたが、全社的に展開するために、有効性や活用方法をあらためて精査しました。
最終的に、栗山氏自身が社内のITセミナーの募集に活用した際、過去のデータを部署内で共有・活用できるという利便性から、本格的にkintoneが導入されることになりました。
外部の業者との連携に必要な情報共有基盤の構築も課題に
DX推進局が主導となってスタートしたkintoneによる業務効率化ですが、2023年4月頃にトヨクモkintone連携サービスのFormBridge、kViewerも導入。kintoneの有用性をさらに広げ、徐々に他の部署でも活用されるようになりました。
その一例となるのが制作局 美術部です。kintoneとトヨクモkintone連携サービスの導入前、美術部では、作業報告に関わる業務フロー改善の必要性を感じていました。
美術部は、番組収録を行うスタジオのセット設営や撤去を行っており、ほぼ全ての作業を外部の業者に委託しながら業務を行っています。業者は、法律に基づいて安全対策や作業の実施時間などの情報を美術部の責任者に報告しなければなりません。以前は、この作業報告をホワイトボード上で実施し、記入内容をスマートフォンのカメラで撮影。その後、責任者に撮影画像をメール送信し、画像ファイル上で確認を実施し、チェックの完了後は、ファイル名を変更し、番組や実施月ごとにフォルダを分けて、該当のフォルダ内に格納していたそうです。
▲kintone、トヨクモkintone連携サービス導入前に作業報告で活用していたホワイトボード
▲担当者が作業報告のチェック管理で活用していたフォルダ
一連のフローで課題感があったのは、フォルダ管理の負担でした。番組の数だけ画像ファイルやフォルダが増加するため、社内の共有サーバーの容量を圧迫します。また、ファイル名の変更作業も多く発生する上、チェックの有無はフォルダを、作業報告の内容は画像ファイルを開くまで確認できない状態だったため、一連の作業に負荷がかかっていました。
そこで、美術部にもkintoneやトヨクモkintone連携サービスが導入されることになりましたが、当初はテレビ局ならではの苦労があったと若松氏は言います。
導入当時は、ツールの活用方法を学ぶ時間をなかなか取れず、具体的な活用までなかなか至らなかったことが悩みの種でした。弊社では、DX推進局による社内セミナーが開催されているため、ツールの活用方法を学習する機会自体はありました。しかし、当時は地元のスポーツチームが優勝し、特別番組の制作の追われていた最中。社内セミナーへの参加はなかなかできませんでした。そこで、トヨクモへのメールのお問合せを頻繁に利用しました。初歩的な内容でも丁寧かつ迅速にご対応いただけるので、今でも重宝しています。(若松氏)
kViewer×FormBridgeでスタジオの作業報告を中心に効率化を実現
ースタジオの作業報告
以前はホワイトボードで管理していた美術部の作業報告は、FormBridgeとkViewerにより全てのフローをPC及びスマートフォンで行うことができるようになりました。
具体的には、月別の制作予定番組と、作業報告の記入が効率化されました。まず、スタジオの使用予定が出た段階で責任者が制作予定の番組を登録しておきます。
kintoneに登録された内容はkViewerで作成した作業報告カレンダーに反映され、1日の作業予定や「どの番組からどの番組への移行作業があるのか」という点を確認できるようになります。
▲kViewerで作成した月の作業報告カレンダー
その後、セットの組み立てや撤去を行う際に、カレンダーに表示された該当の作業をクリックすると、FormBridgeで作成した作業報告の入力フォームに遷移。各担当が、作業人数・時間・安全確認チェックなどを入力します。
▲FormBridgeで作成した作業報告の入力フォーム
また、作業報告の責任者チェックが完了すると、カレンダービュー上での表示が変化。色分けによって、責任者からのチェック状況を一目で判別できるようになりました。
スタジオの作業報告にトヨクモkintone連携サービスを組み込んだ効果について、若松氏はこう語ります。
トヨクモkintone連携サービスを導入して顕著に現れた効果は「管理の負担が軽減されたこと」です。従来行っていた画像データとフォルダで管理するやり方は、制作する番組の数だけデータが増えるので、社内の共有サーバーの容量を圧迫していました。また、いちいち画像データを開いてチェックし、フォルダ名を変更するのも相当の負担だったと思います。
その点、FormBridgeとkViewerを活用した管理では、画像データがフォームへの入力に変化し、責任者はカレンダー上の色分けでチェックの有無を把握できるように。加えて、現場と責任者間で行われるメールのやり取りも全くなくなりました。スタジオの作業報告はずっと行う業務なので、そのストレスが軽減されたことは責任者にとって大きな効果と言えると思います。(若松氏)
ー社員の検診予約・社内セミナーの申し込み
関西テレビ放送では、社外とのやり取りだけではなく、社内でもkViewerやFormBridgeが活用されています。
その一例が社内の健診予約です。全社に共有されたkViewerのURLへアクセスすると、席数に空きのある日時がカレンダービューで表示されています。社員は表示された日時の中から、希望の日時を選択し、予約ボタンを押すとkViewerからFormBridgeに遷移します。
▲kViewerで作成した検診予約のカレンダービュー
遷移後、フォームに氏名や所属部署、社員番号などを入力すると予約が完了します。
▲FormBridgeで作成した検診の予約フォーム
また、予約が完了すると、kintoneアプリに登録されると同時に、アドレス宛に自動で予約完了メールが送信されるため、予約日時を忘れるリスクを軽減できます。さらに、別のプラグインサービスを活用し、予約可能残数がなくなった枠については非表示になるため、二重予約の懸念もありません。
▲検診予約のカレンダービューは他のツールと連携して残数を表示
他にも、社内ITセミナーの申し込みでkViewerとFormBridgeが活用されています。これは、健診予約アプリに似たフローを採用しており、まずはセミナーの担当者が事前にセミナーの内容や開催日時をkintoneアプリに登録します。その内容が、kViewerのカレンダービューで表示され、社員はそこから参加したいセミナーを選択します。
▲kViewerで作成した社内ITセミナーのカレンダービュー
そして、FormBridgeで作成した申込フォームから入力することで、スムーズに選択したセミナー日程への参加申し込みができるようになったとのことです。
▲FormBridgeで作成した社内ITセミナーの申込フォーム
業務効率化を皮切りに、データドリブン経営の実現を目指す
トヨクモkintone連携サービスの魅力は、ただ単に業務効率が向上するだけではないと栗山氏は言います。
トヨクモkintone連携サービスは、誰でも簡単に習得できる点が大きな魅力だと思います。例えば、FormBridgeで作成されたフォームへの入力はマニュアルがなくても、見たまま入力をすれば対応できます。他にも、データが安全に管理されているという安心感もありますし、kintoneともラグなく連携できる点もポイントです。kintoneとトヨクモkintone連携サービスを導入したことで、手軽に作業のスピード感が飛躍的に向上しました。(栗山氏)
最後に、トヨクモkintone連携サービス活用に関する今後の展望について、栗山氏に語っていただきました。
今後は、全社的なデータドリブンを目指していこうと考えています。例えば、美術部で以前のようにホワイトボードで情報を共有していても、画像データでしか情報を残すことができませんでした。
しかし、kintoneとトヨクモkintone連携サービスの導入で、業者ごとの作業時間やそれに紐づくスタジオ別の稼働率のデータを蓄積することが可能になります。現在は、労働安全衛生法に基づく安全管理の意味合いが強くなっていますが、将来的にはスタジオ別の作業時間、稼働率のデータを見た上でスタジオの稼働率の把握など、経営判断にも繋げていきたいと考えています。(栗山氏)
記事公開日:2024年11月19日
※事例記事の内容や所属は取材当時のものとなります