ホーム

因幡電機産業株式会社 様

紙業務をkintoneと連携サービスでペーパーレス化、年間約400万円のコストダウンを実現



因幡電機産業株式会社は1938年、大阪府で因幡電機製作所として創業しました。主に電設資材の卸販売を手掛ける商社で、北海道から九州まで多数の拠点に展開する老舗です。

膨大な種類の商材を扱うため、社内の業務フローが複雑なうえ、紙で処理していたので大きな手間と時間、コストがかかっていました。そこで、ペーパーレス化と業務効率化を目指し、2020年にkintoneを導入しました。

トヨクモのプリントクリエイターフォームブリッジkViewerkMailerを活用し、年間400万円のコストダウンを実現。さらには、Toyokumo kintoneApp認証を使い、社内・社外とセキュアに情報共有しています。


今回は、アナログ業務が定着した複雑なワークフローをkintoneでデジタル化し、大きな導入効果を出した経緯について、電材カンパニー 企画室の課長 井上勝史氏、稲本アンジェラ氏、河村星花氏、情報システム部 システム企画課の主事 田中健太郎氏、亀井海沙氏の5名にお話を伺いました。

左から、田中健太郎氏 井上勝史氏 亀井海沙氏 稲本アンジェラ氏 河村星花氏


スクラッチのシステムを廃止してkintoneに移行することでサーバー代120万円を節約


社内システムは情報システム部の担当で、日々、様々な改修やカスタマイズの依頼が寄せられていました。しかし、部署特有なスモールニーズにはなかなか手が回らずに対応できないという課題があったそうです。

そんな時、連結子会社の株式会社パトライトがkintoneを導入しているという話を聞き、検討することになりました。もちろんほかのソリューションとも比較検討しましたが、圧倒的に使いやすいのでkintoneを導入することになったそうです。まず、手掛けたのは監査室からの要望でした。

「それまで、監査室の報告書は、情シスがスクラッチで立てたサーバーのシステムで作っていましたが、老朽化してきてサーバーの更新をやめよう、ということになりました。そこで、監査室にkintoneを導入したという感じです」(田中氏)

kintoneとプリントクリエイターを組み合わせることで、監査室の報告書をクラウド化し、サーバー運用から脱却できました。サーバー更新の見積もりは、5年で約120万円だったので、いきなり大きな導入効果を得られました。

プリントクリエイターを導入したことで、社内の帳票類をkintoneに置き換えてペーパーレス化が進み始めました。2021年には、社内だけでなく外部とやりとりする帳票類のペーパーレス化にも着手しました。工事関連や下請けに関する書類などをたくさん扱っており、多くの帳票が行き来していたのです。

従来は紙に印刷し、外部業者へ郵送して返送してもらってを繰り返し、工数がかかっていました。フォームブリッジを導入することで、外部業者がWebフォームから入力し直接kintoneに情報が登録されるようにしました。
「工事関連では主に3つの帳票があります。『国が定めている再下請通知書』と『作業員名簿』、そして『作業員の方の経歴を書く職務経歴書』です。以前は手書きして郵送し、業者さんに手書きで追記してもらい、送り返してもらって、社内で保管するという流れでした」(井上氏)

大量の書類を郵送でやり取りしており、その負担はとても大きかったそうです。最初はフォームブリッジで入力のシステムのみを作ったのですが、業者が入力した情報を自分で確認できるようにすぐにkViewerも導入しました。

まずは、自社側で必要な情報を入力し、その後業者に回して入力してもらうことで、手軽に登録でき、書類はクラウド上に保存されるので、必要な時にすぐに取り出せるようになりました。

お互いが郵送や封筒にかかるコストを削減でき、手間も省くことができます。やり取りが完了するまでに1~2週間はかかっていたところ、URLを送るだけで済むので、大きな時短を実現できました。感覚的には手間も3~4割削減できたそうです。


再下請通知書の入力フォームと入力内容を確認するビュー画面です


プリントクリエイターで4枚帳票を廃止!年間400万円のコストダウンを実現


 情シス内でのkintone試験導入が進み、FAXのクラウド化も一段落した2021年、現場の電材カンパニーにもkintoneが導入されました。

 現場では社内での情報共有のために、4枚複写の帳票に手書きして社内便でやり取りしていました。例えば、返品が発生した場合、指示を受け取るだけで1~2日かかります。処理の工程が完了するまでに1週間かかることも頻繁にありました。
 この業務をkintone化することで、返品発生から1~2時間で担当者が確認し、経理処理が進むようになりました。在庫品と手配品など異なる帳票もプリントクリエイターですべて作成し、これまでと変わらない見た目なのでスムーズに導入できたそうです。

 本来であれば、紙の伝票を記載し物流センターへ行き、営業現場に戻ってきて、上長の承認を得てから、伝票の控えを発行するといったプロセスが、kintone上で作業できるので圧倒的な時短を実現できました。もちろん、その分の人件費も浮いたことになります。

プリントクリエイター導入前に利用していた4枚綴りの複写式伝票です


「返品のワークフローをデジタルkintone化することで、4枚複写の伝票のコストが約280万円も削減できました。ほかの業務の伝票もプリントクリエイターでkintone化し120万円の削減ができ、全体で年間約400万円のコストダウンを実現できました」(井上氏)


社内・社外でToyokumo kintoneApp認証を活用してセキュアに情報を共有


フォームブリッジ、kViewerは、どちらもプロフェッショナルコースでご契約いただいており、パスワードレスで情報をセキュアに管理できるToyokumo kintoneApp認証も活用されています。日々、多数の顧客から様々な依頼があり、中でも多いのがカタログの送付依頼だそうです。これまでは、電話などで連絡を取り合っていましたが、クラウド上で申し込みができればお互いに手間が省けます。

しかし、顧客全員にkintoneのアカウントを払い出すわけにはいきません。そこでフォームブリッジとkViewerで顧客のページを作り、そこからカタログを依頼できるようにしました。

会社の情報も表示されるので、第三者がアクセスできないようにしなければいけません。そこで、Toyokumo kintoneApp認証を活用したそうです。なんと、現時点で875ユーザーが登録されています。今後は、通知書などの書類の発行依頼や問い合わせなどもできるようにする予定とのことです。

カタログの依頼フォームです


現在、審査部門で利用するアプリを開発中で、そこにもToyokumo kintoneApp認証を使っているそうです。問い合わせサイトのようなスタイルで、企業の審査を行う仕組みです。重要な情報を扱うので、必要な社員しかアクセスできないようにする必要があり、Toyokumo kintoneApp認証で認証をかける予定です。さらに、もっと大規模な活用も検討中とのことでした。


「弊社は毎年4月にジャンボびっくり見本市という展示会を開催しています。2019年には3万5000人が来場したイベントで、会場は大阪はインテックス大阪、東京は東京ビッグサイトです。全国の電気工事業者さんが来場されるのですが、参加者全員にkViewerでイベントページを作成できないかな、と検討中です。」(井上氏)

kintoneと連携サービスで、情報の収集から共有までの自動化を実現


 kMailerも様々な業務で活用されています。例えば、日々作成する膨大な数の見積書もkintoneで作成することになりました。この「見積書管理」アプリでは、見積もりの内容をプリントクリエイターで帳票化し、kMailerで顧客にメールを送信できるようになっています。

kintoneアプリから簡単に見積書を作成し送信まで行えます


全社員がkintoneアカウントを持っていないため、社内から情シスへの問い合わせシステムもトヨクモ製品を組み合わせて構築しました。フォームブリッジから質問をしてもらい、問い合わせ状況はkViewerで確認できるようにしたのです。情シスが回答したら、自動的にkMailerから問い合わせした人に状況を送信します。

これまでは、情シスの個人宛に電話やメールで相談があったため、属人化が発生する原因となっていましたが、kintone化することで全員が問い合わせと回答の内容を確認できるようになりました。

kintoneアカウントを持っていない人でも、決められたフォームに入力するだけで回答が得られるうえ、回答されたことをメールで教えてもらえるので手間がかかりません。今では、月に200件もの質問が問い合わせアプリに寄せられるようになりました。情シスへ問合せの見える化ができ、一部の担当者に電話やメールが集中することが減ったそうです。

社内の問い合わせシステムもフォームブリッジ×kViewer×kMailerで構築しました。


「社外向けには、EDIでつながっている取引先から休暇情報を集めるのに活用しています。EDIでシステム連携している場合、大型連休などがあると、最後のデータをいつ送ってくるのかを把握しておく必要があります。会社によって、弊社と休みの日が異なることがあるからです」(田中氏)

 以前は100社以上と電話やメールをやり取りし、休みの調整を行っており、10人がかりで対応していました。しかし、kMailerを活用し、フォームブリッジとkViewerで作ったページのURLを送ることで、簡単に情報を収集することができるようになりました。こちらもとても大きな導入効果と言えます。

最後に、今後の展望について伺いました。


「社内のアプリもまだまだ作りたいアプリはあるのですが、主な業務に関しては一通りのアプリは作ったので、今後はちょっと社外に目を向けて、トヨクモさんのサービスを使って見積もりや問い合わせのフォームなどを作り、仕入れ先さんや得意先さんと使っていきたいと考えております」(井上氏)

「kintoneに関しては、社内でも井上さんを中心に事例がたくさんあるので、他の部署にも浸透させて、全社導入できるように推進していきたいと思っています」と田中氏は締めてくれました。

記事公開日:2023年4月10日
※事例記事の内容や所属は取材当時のものとなります