導入事例

kintone連携サービス導入事例医療法人社団 功和会 平野クリニック様
医療法人社団 功和会 平野クリニック様

医療法人社団 功和会 平野クリニック様

  • 業務内容:在宅医療、泌尿器科外来、歯科・訪問歯科
  • kintoneの用途:データの管理や情報共有
  • URL:http://kowakai-hcl.com/
平野クリニックの外観と往診用の車

闇雲なIT化ではなく、「身の丈にあった」在宅医療ICTシステムを構築する

「紙とExcelでの情報管理体制に限界を感じて、クラウドサービスを探し始めた中で、代理店の方にkintoneを紹介してもらい、システム化の検討を始めたのがきっかけですね。今ではやっとkintoneとkViewerでの運用が軌道に乗ってきたので、さらに院外の多職種との連携を拡大し、また帳票のしくみ作りも進めていきたいと思っています。」

医療法人社団 功和会 平野クリニックは、泌尿器科や歯科の外来診療の他、在宅医療を行っているが、定期訪問を行っている患者数は450名を超える。その在宅医療を支える、kintoneと連携サービスについて、東京都清瀬市に位置するクリニックへ伺い、システム構築を担当されている久保田義悟様にお話を伺った。

紙でのやりとりに限界を感じて、ICTシステムの構築に乗りだす

「在宅医療において、普通のクリニックと異なるところは、クリニック単体では患者さんに関わる全ての流れを完結できないというところです。通常の外来診療であれば、患者さん自ら診療に来てもらって、診察して患者さんに処方箋をお渡しして、それを薬局に持っていってもらい、薬を受け取って終了しますが、在宅医療では私たちが患者さんの家や施設に行って診察を行い、その後で訪問調剤薬局が薬を届けにいくケースがほとんどです。また、救急病院や、眼科や耳鼻科といった他の医療機関、ケアマネージャーや訪問看護師などの事業所とも協力し合って診療を行っています。そのような院外とのやり取りに関しては、基本的に紙ベースで、連絡は電話やFAXを使って人力で行っています。IT化、ICT化が望まれているのですが、なかなか進んでいないのが現状です。

 kintoneの導入のきっかけなのですが、kintoneを検討する前に医療法人として電子カルテを導入していました。その前は紙のカルテで運用していて、カルテを外に持ち出していると中にいる事務所では全く診療内容が分からないという状態でした。更に電子カルテを補完するために、患者の台帳をExcelで作成して、スケジュール管理などもホワイトボードとExcelでやっていました。後は、経理の帳票や、医師から訪問看護師への指示書のような書類が必要になるのですが、それら全てをExcelで作成して紙に出すという形で作成していたので、事務方の業務がかなり逼迫していました。日中は患者さんのところへ訪問して、夕方に事務所へ帰ってからデータ入力や書類を作成する必要があり、どんどん業務時間が増えてしまい院内の情報共有もままならずという状態でした。

 そのような状態を代理店の方に相談した際に、サイボウズ製品を紹介してもらって、2015年の夏頃から検討を始めました。kintoneのみで検討を進めていたわけではなく、Salesforceや、クラウド型の在宅医療に特化したような電子カルテも検討しました。最終的にkintoneを導入することに決定した理由は、やはり自分達で構築したり、設定や変更だったりが自由にできる敷居の低さと、コストの低さですね。Excelで管理している既存の患者台帳等を転用できるというところもあって、最終的に2016年の春頃に、kintoneを導入しました。」

平野クリニック 久保田様
必要最小限が詰め込まれたアプリ構成

「当初導入したときは、kintoneのユーザー数は3人でスタートしました。職場全体はやはりExcelに慣れ親しんでいるので、すんなりとkintoneに入れ替えとはいかず、初期メンバーの3人は二足の草鞋を履いて、通常業務でExcelに打ち込みながら、二重になりますが同内容をkintoneにも入れて、使い勝手を検証していきました。そのため時間はかかりまして、2018年の2月に最終的にkintoneへ入れ替えを行った形です。

 当院では、医師にはアカウントを渡しておらず、事務スタッフのみでkintoneを使用しています。患者さんへ訪問する際は、基本的に医師と事務スタッフの2名で行くので、医師には診察と、電子カルテに書き込むことに専念してもらい、それ以外のプラスアルファの部分を事務スタッフがフォローする形にしています。

 アプリはそれほどの数は作っていなくて、メインで使っているのは一般企業でいう顧客情報管理アプリに相当する【患者さんの台帳】と、【日報】のアプリですね。台帳アプリには、Aという患者さんはBというケアマネージャーがついて、Cという訪問看護師が入っていて、Dっていう訪問調剤薬局が入っている、という関係者情報も入れています。

 日報のアプリは、患者さんのところへの定期訪問や、連絡をもらって往診する度にレコードを足していく運用をしています。また、患者さんや家族、訪問看護師から電話などで問い合わせや相談があったときも1レコード追加しています。
 医師が電子カルテにその日の診療内容を書きますが、そこに収まり切らない情報が結構あるんですね。医療的なことは電子カルテに書かれていますが、例えば介護系のケアマネージャーとのやりとりや訪問看護師に申し送りするところ等は電子カルテには記載されないので、日報アプリでは電子カルテの内容を補完するイメージでレコードを作成しています。」

kintoneの往診等の情報を管理している日報アプリの一覧画面、詳細画面

「当初は電子カルテの内容を、DateSpiderを経由してkintoneに流し込む運用も検討したのですが、電子カルテの仕組みとして難しく頓挫しました。しかし、情報が一元管理されていないと非常に使いにくいので、日報アプリで一元管理を行うために、電子カルテの診療録という記録部分をPDF化して添付ファイルとしています。これで、医師の診療内容プラス、患者さんやその家族と話したことや、共有しておくべき事項等に関しても全てひっくるめて日報アプリでの管理ができています。」

kViewerを活用して複数の職種を横断した情報共有のしくみを作成

「院内の連携に関しては、事務スタッフでアカウントを所有して、kintone内で管理・運用ができています。
院外連携のためにkViewerを活用しています。

 カルテは患者さんの重要な個人情報が詰まっているものですし、医療に関する情報は個人情報保護法でも厳しく規制されているので、開示することに抵抗があるという意見もあるのですが、在宅医療では、訪問看護師やケアマネージャー、調剤薬局など、1人の患者さんに沢山の方が関わるので、取り扱いに注意しながらも情報は開示したほうが楽に運用ができると感じています。

 今までは情報共有を電話やFAXで行っていたので、時間もかかりましたし、一対一のコミュニケーションでしか情報が伝達できなかったのですが、kViewerを導入した現在では、kViewerで今日の診療内容を公開しておけば、別にいちいち連絡しなくても、それぞれビューで先方の必要に応じて閲覧してもらえるので便利ですね。その下地の上で重要度や緊急度が高い案件は、電話などの手段を使って対応にメリハリを付けています。また、各職種の方がそれぞれの立場で情報を見ているので、医師の先生の所見に対して、訪問看護師さんが、患者さんから実はここが痛いと聞いていると報告してくれたり、薬剤師さんは薬に関してのプロなので、飲みやすい方法の提案をしてくれたりといったように、在宅医療の質を高める情報共有もし易くなりました。
また、kViewerでは絞り込み検索ができるので、患者さんで絞り込むと、その患者さんだけの履歴をまるで物語を読むかのように一覧で閲覧することが可能です。院外事業所の方々もこの絞り込みを便利に使っていて、訪問に向かう前などにその患者さんの履歴を確認して、最近の状況を確認したり、突然の入院など何か変わったことがないかも確認したりできるので、例えば入院したことを知らずに訪問してしまったという事態を防ぐこともできています。

  さらに、kViewerを使ってもらっている院外の各事業所の担当者に、どのように使っていますか?とヒアリングをしています。例えば、当初の運用としてはExcelのような使い方のほうが見やすいだろう、ということで一覧ページのみにして、複数の患者さんの診療情報を一気に確認できるようにしていましたが、1レコードずつ紙に印刷して閲覧できたらいい、という意見をもらって、詳細ページを公開し、紙に出すのであればフィールドの順番も見やすいように変更しました。運用しながらも変更を加えられるので、どんどん良くしていきたいと思っています。」

kViewerの一覧ページ
kViewerの詳細ページ
新しい仕組みを受け入れてもらえるよう、導入方法についてもこんな工夫が

「医療・介護の業界は意外とアナログなので、こんなシステムを作りました!と言っても受け入れられにくい、なかなか使われづらい部分があるんですね。なので、kViewerではとりあえず、こちらの情報を一方通行ですがデジタルで見せます、でもそちらからの情報共有や報告は今まで通りのやり方で構いません、今後のことは改めて話し合っていきましょう、というスタンスで行っています。また、個人情報保護の観点からもきちんと管理していきたいので、このように、利用に関して申し込んでもらう形にしています。申込をもらったら、そこ向けにビューを作成して、関係する患者さん以外の情報は見られないように制限を掛けて、IDとパスワード認証でアクセスしてもらう形ですね。」

実際に渡しているkViewerをサービス名『kViewer feat.平野クリニック』とした導入のためのチラシ
現行システムに満足せず、さらに試行錯誤と変革を進めていく

「現時点で足りないこと、これからやりたいこととして考えているのは、kintoneの一覧画面をExcelのようにするプラグインを試してみたいと思っているのと、後は帳票出力の部分です。訪問看護指示書、ケアマネージャーや調剤薬局への報告書や、介護保険の主治医意見書という行政に出す書類、それと他の医療機関への紹介状ですね。
今はExcel差し込み印刷でやったり、電子カルテの機能でやったりしていますが、原本のデータがkintone、電子カルテとExcelでバラバラになっているので、kintoneとプリントクリエイターでの一元管理を実現したいと思っています。
また、その帳票をkMailerで送ることや、院外事業所からの緊急でない申し送り事項に関しては、フォームブリッジとkViewerの合わせ技での双方向運用なども検討していきたいと思っています。」