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株式会社エクセディ物流 様

発注管理のデジタル化で年間12,000枚の紙を削減! 物流業界がトヨクモkintone連携サービスで実践する業務効率化への道


株式会社エクセディ物流は、路線便会社や地方の運送会社と広範なネットワークを連携し、部品調達から配送までを国内外問わず一貫して請け負うロジスティクスカンパニーです。
これまでは、紙ベースでの業務が中心でしたが、2023年4月のkintoneとトヨクモkintone連携サービスの導入により、業務効率化を実現しました。特に、発注管理業務において大きな成果を上げています。

本記事では、株式会社エクセディ物流 人事総務グループの有田 英司氏に、トヨクモkintone連携サービス導入の背景、具体的な活用方法、導入効果について詳しく伺いました。

根強い紙文化と属人化された業務プロセスからの脱却を目指し、kintoneを導入

エクセディ物流では、伝票や報告書など、ありとあらゆる業務が紙ベースで行われていました。このような紙ベースでは、情報共有に時間がかかり、伝達ミスや書類の紛失のリスクも高まります。実際、約10%もの作業確認漏れが発生しており、各種申請のステータス管理や書類の保管場所の特定などの業務に大きな負担がかかっていたそうです。

▲kintone導入前に使用していた紙の書類

▲紙の書類を管理していた棚

また、経験と勘に頼った属人的な業務体制が根付いていたことも課題でした。以前は業務フローが整備されていなかったため、担当者以外は内容を理解することが難しい状態で業務を実施。そのため、社員に負荷がかかっている状態でも、一部業務を外注することが困難だったそうです。

こういった課題を受け、前々から『DXを実現するための基盤を整備し、物流業界特有の紙文化を解消したい』と考えていた有田氏は、本格的に業務改善ツールの検討を開始。最終的に、柔軟性・拡張性が高く、現場や業務に関わるメンバーでも簡単にシステムを構築できるkintoneが導入されました。

kintoneライセンスがない人へもデータ共有ができるトヨクモkintone連携サービスで、業務のデジタル化を推進

紙文化や業務の属人化といった課題を解決するためにkintoneを導入したエクセディ物流ですが、物流は仕入先なども巻き込む業務。業務フロー全体を効率化するためには社内だけでなく、kintoneアカウントを持たない仕入先も巻き込んだシステム構築が欠かせません。

エクセディ物流では、仕入先も活用できるような『発注管理システム』の構築、そのためのプラグインが求められていました。

また、業務効率化の取り組みはスモールスタートしたかったと有田氏は話します。

「過去にも、システムを導入して本格的に業務改善に取り組んだことがありますが、その際は費用や時間をかけても定着に至らず…。そこで今回は、コストを抑えてスタートを切り、成果が出てきたら徐々にかける費用を増やしていきたいと考えていました。また、仕入先様にも活用いただける『発注管理システム』を構築したかったため、『kintoneアカウントがなくても使える』という観点はプラグイン選定の重要な判断軸でした。」(有田氏)

そんな時、有田氏の上長の方から紹介されたのが、トヨクモのkintone連携サービスです。数あるサービスの中から選ばれた決め手は、『1社の製品のみで発注管理システムに必要な機能を揃えられる』点でした。発注管理で行う一連の業務をデジタル化できる他、ツール間連携で効率よく行えることから高い費用対効果を期待できるというイメージが持てたため、トヨクモkintone連携サービスが導入されました。

1社の製品で複数の業務に対応! FormBridge、kViewer、kMailerで実現する、誰でも使える業務管理システム

エクセディ物流では、FormBridgekViewerkMailerの3製品を導入。導入当初は『発注管理システム』の構築が大きな目的でしたが、現在では勤怠管理や各種申請といった社内業務でも活用されています。

ー【発注管理システム】ポータルサイトで注文管理/問い合わせ管理を実現(FormBridge・kViewer・kMailer)

▲仕入先の企業様がアクセスするユーザーページ(ポータルサイト)

『発注管理システム』では、大きく分けて『注文管理』と『お問い合わせ管理』の2つを効率化しました。

『注文管理』では、kintoneとFormBridge、kViewer、kMailerを活用し、納品先情報や依頼内容(商品名、型番、数量、納期など)をデータ化し一元管理できるシステムを構築しました。まず、仕入先は発注管理や運送手配など、物流に関する様々な申請フォームにアクセスできるポータルサイトにログイン。その後、実施したい申請を選択します。
ユーザーページの詳細は以下をご参照ください。
https://www.kintoneapp.com/step-up/user-page

副資材発注の場合は、「副資材発注リスト」を選択すると発注済みの内容がkViewerで作成したビュー上にリスト形式で表示。任意の行を選択すると、住所や受領ステータスといった詳細を確認できます。

▲kViewerで作成した副資材発注リスト


▲注文内容の詳細を確認できるページ

詳細ページ上部に記載されているボタンをクリックすると、注文内容の受領連絡フォームに遷移。フォームの入力が完了すると受領状況が更新され、kMailerにてフォームの登録完了メールが自動配信されます。

▲FormBridgeで作成した注文の受領連絡フォーム

これにより、仕入先も必要な情報を簡単に検索・確認できるようになり、従来は紙で行っていたやり取りが簡略化されました。

システムの構築直後、紙文化に慣れている仕入先では活用方法に迷うこともあったそうです。そこで、エクセディ物流は新しい『発注管理システム』の活用法に関する説明会を開催し、今では仕入先も新しいフローでスムーズに業務を行えるようになりました。

▲仕入先に対して新しい発注管理システムの活用方法の説明会を行っている様子

▲FormBridgeで作成した仕入先様のお問い合わせフォーム

とはいえ、長くシステムを使っていく中で疑問が発生することも想定できます。そこで、FormBridgeで仕入先様からのお問い合わせフォームを作成。発注管理システムに関する疑問はもちろん、発注対応のお問い合わせも同じフォームから受け付けられるようにしました。

▲FormBridgeのお問い合わせフォームから入力された仕入先様からのお問い合わせリスト

フォームに入力されたお問い合わせ内容はkintone上で一元管理され、システム担当者は対応状況をリアルタイムで把握できるようになりました。お問い合わせへの回答は、kMailerであらかじめ用意しておいたメールテンプレートを利用してスムーズに作成。これにより、従来はシステム担当者が個別に作成・送信していた回答メールの手間が省け、業務効率化に繋がりました。

▲kMailerで作成したお問い合わせに対する返信メールの作成画面

kintoneとFormBridge、kViewer、kMailerを活用した発注管理システムの構築により、注文管理時に発生していた年間12,000件の紙書類が0になり、エクセディ物流と仕入先のやり取りが全てデジタルに移行されました。

ー勤務届カード(FormBridge・kViewer)

▲FormBridgeで作成した勤怠管理カード

従来、従業員は、有給休暇や直行・直帰といった勤怠状況を、勤務届カードに記入し、上長に提出していました。そこで、FormBridgeで勤務届カードをフォーム化し、従業員の勤務形態(日勤・夜勤)や勤務時間の管理、有給休暇や直行・直帰といった申請を行えるようにしました。これにより、勤務届作成の負担が軽減され、管理部門の業務効率化にも貢献しています。

ー給与・総務などの各種申請(FormBridge・kViewer)

▲各種申請フォームにアクセスできるkViewerのセグメントビュー


エクセディ物流では、仕入先だけではなく社内用のポータルサイトも作成・運用しています。従来は、各種申請書を紙で提出していましたが、kintone上で一元管理できるようFormBridgeでフォームを作成しました。

現在では、20種類以上の申請業務がフォームに移行されたことで承認までのフローが簡潔になり、申請者・管理部門ともに負担が軽減されています。

ー行動規範理解度テスト(FormBridge)

▲FormBridgeで作成した行動規範の理解度テスト

人事総務グループは、年に一度、全従業員に行動規範に関するテストを実施しています。
これまでテストは、紙で実施し、採点を手作業で行っていました。この理解度テストもFormBridgeに移行し、回答を事前に登録しておくことで自動採点ができる仕組みを構築し、テスト実施及び採点業務の大幅な効率化に貢献しています。

さらなるkintone活用で、全社的な業務効率化を目指す

トヨクモkintone連携サービス導入により、エクセディ物流では年間12,000枚もの紙削減を達成するなど、発注管理業務を中心に大きな成果を上げることができました。これほどの効果が挙げられたのは、FormBridge、kViewer、kMailerを連携できたことが大きいと有田氏は言います。FormBridgeはフォームの入力、kViewerはフォームに入力した内容の確認、kMailerはkintone内の情報を参照したメール作成と、それぞれの機能に合わせて役割を分担。発注管理をはじめとする一連の業務フロー内に、これらを組み込むことで、全体での業務効率化が実現できました。また、メールでの通知など、物流業界で文化的に重宝されている機能があったことも大きかったそうです。

最後に、有田氏は今後の展望について語ってくださいました。

業務改善の製品を導入しようとされている企業様は、速攻性を期待されていることと思います。確かに、開発時間が格段に短縮される素晴らしいツールですが、運用者が感じる変化への抵抗や不慣れからの脱却、運用の安定までには、ある程度の時間が必要です。ここは焦らず、決してあきらめないでください。場合によっては時間をかけることも重要です。
また、ノーコードツールは誰でも簡単に開発でき、短時間で業務改善ができることが期待されていますが、問題は単にプログラミングだけではなく、業務の流れや意味といった「業務を理解すること」ができなければ、ツールを使った業務改善は難しいと考えています。つまり、ツールを最大限に活用するためには、「業務フローとは何か」「データドリブンとは何か」といった「社内教育」を繰り返し行うことが必要です。
現状では、「新しいツールが導入されたから」という理由でツールを使っている従業員も、「現場に関わっているメンバーが、ツールを使った業務改善を自分たちで行う」という姿になるよう、「知識の底上げ」に取り組み、モチベーションを上げていきたいと考えています。(有田氏)


記事公開日:2024年9月20日
※事例記事の内容や所属は取材当時のものとなります