請求書業務を自動化することで、業務時間を10分の1に削減成功
株式会社エディマート様
株式会社エディマートは名古屋を拠点として、文書コンテンツを制作している編集プロダクションです。コピーライティングから企業の冊子や刷り物、採用サイト、オウンドメディアなどを手がけています。元々はガイドブックの制作がメインでしたが、近年は広告のプロモーションツール制作にシフトしているそうです。創業は2003年で、現在スタッフは15名です。
企業理念は「ベストクリエイティブで、社会と自身をバージョンアップ!」と掲げており、社会のバージョンアップという社会貢献に加えて、自分自身もバージョンアップして自己実現するため、両方につながる仕事をしているとのこと。毎月の1on1や半期ごとの社長面談で掲げた目標に対してバージョンアップができたか、確認しています。
以前のエディマートでは、スタッフの案件管理をExcelで行っており、社長がとりまとめて社内向けメールマガジンを送って情報共有していました。請求書の発行や売上管理もExcelです。扱う案件が増えてくると、限界が見えてきたのです。仕組みが煩雑化しているだけでなく、収支分析も満足にできていませんでした。
そこでkintoneを導入し、クラウド化とデータの一括管理が進んだのですが、やはり紙で請求書を送らなければならない取引先があるので、帳票の出力が必要になりました。そこで「プリントクリエイター」を導入していただくことになりました。
今回は、多忙な編集プロダクションが、案件の管理から帳票の出力まで行えるシステムをkintoneで構築し、大きな業務改善を実現した経緯と効果について、代表取締役の鬼頭英治氏にお話を伺いました。
エディマート代表取締役 鬼頭英治氏。
1日かかっていた案件割り振りメールの作成をkintone導入でゼロに
エディマートは多業種、多分野にわたる仕事を手がけています。創業時は数本の仕事を抱えているだけでしたが、現在は従業員も増え、扱う案件も格段に増加しました。案件の管理は代表である鬼頭氏が行っており、1週間に1度、各スタッフに「ジョブメール」という社内向けメールマガジンを送っていました。各スタッフがその週にやるべき仕事をまとめたものです。
「案件管理のファイルはExcelで、案件名とクライアント、請求金額、仕入れ額を入力し、担当別にソートをしてメールに貼り付けていました」(鬼頭氏)
請求管理も鬼頭氏が担っていました。業務面で鬼頭氏が抱える負担が大きく、把握しきれない場面では、請求書の発行漏れも発生していたそうです。
そんな課題を抱えていた鬼頭氏に、スタッフから提案がありました。前職でサイボウズのグループウェア「Garoon」を使っていた経験から、「kintone」のことを知っていたのです。ノーコードで利用できるうえ、拡張性も高いので、kintoneを基盤にすれば、顧客管理や会社のルール作りなど、いろいろなことができると言われました。
「話を聞いたときに、やっぱり経営的な立場からすると、お金がかかるのか、という抵抗はありました。今でこそ色々なツールをサブスクで導入していますが、最初に導入したkintoneの時は、なぜ人力でできるところにお金を払うのだろう、と思っていました」(鬼頭氏)
kintoneには30日間の無料お試し期間があったので、合わなければやめればいい、と考えてとりあえず試してみたそうです。まずは、課題だった「案件管理」アプリを作りました。最初は、既存の「ジョブメール」と同様に、単純にどんな案件を抱えているのかを入れただけのものでした。それでも、スタッフからは「革命的に使いやすくなった」という声が寄せられたそうです。
「ジョブメールを作成している時は、丸1日かかっていました。それが、kintoneを見てくれ、と言うだけで済むようになったので、とても大きな時間の削減になりました」(鬼頭氏)
これだけでも素晴らしい導入効果ですが、kintoneの使い方がよくわからない、というスタッフもいました。かつては「仕事は先輩の背中を見て覚える」という社風で、詳しく説明する文化はなかったそうですが、kintoneに関してはスタッフの一人が積極的に説明会を開くなど、情報発信に協力してくれたそうです。そのおかげで、現在は全員がkintoneを使えるようになっています。
案件管理をkintoneに移行し、脱Excelを実現しました。
請求業務をkintone化することで、業務時間の削減に成功
「案件管理」アプリはその後数年かけて進化し、売上金額まで管理できるようになりました。それでも、請求書はスプレッドシートで作成し、PDFでダウンロードしていたそうです。kintoneに登録されている情報をコピー&ペーストしていたのですが、課題が浮かび上がってきました。
同じ取引先の過去の案件で作った請求書をコピーして使い回すのですが、コピーミスや変更漏れで日付や金額の間違いが発生することがあったのです。
また、請求書を起こす作業は従業員が行うのですが、バックオフィス業務は専門ではないので慣れていません。スタッフによっては細かい案件を多数抱えていることもあり、請求書を起こす作業の負担が大きくなっていました。それこそ、1日がかりとなることもあったのです。
「請求書を起こす作業効率を改善したいという声が大きくなったので、kintoneから直接請求書を出力できるようにしよう、ということになりました」(鬼頭氏)
最初は、請求書を発行できるクラウドの会計サービスとkintoneを連動させようと考えたのですが、その場合は会計サービスを乗り換えなければなりません。使い方を覚え直す必要がありますし、コストも高くなるため、却下したそうです。
他に手はないのかと調べたところ、プリントクリエイターを見つけたそうです。会計システムとは連携できませんが、kintoneアプリに登録されている情報を帳票として印刷することはできます。kintoneと同様に試用して検討したところ、UIの使いやすさとコストパフォーマンスの高さで、導入していただくことになりました。
UIがわかりやすく、迷わず請求書のレイアウトを設定できたそうです。
「スタッフ皆が半日かけて請求書を作成すると一定の労務費がかかりますが、プリントクリエイターのボタンをkintoneに表示させてクリックするだけで出力ができました。それだけで、利用料金はペイできると考えました」(鬼頭氏)
請求書作成をプリントクリエイター化したことで、スタッフそれぞれが毎月4~5時間かかっていた作業時間が約30分に削減できました。この30分は、請求書を印刷して3つ折りにし、封筒に入れる作業時間です。それでも約4時間半もの業務時間が削減となり、削減できた労務費は相当なものになります。
経費込みの請求書も手軽にkintoneから出力できるようになりました。
請求に関する確認作業がなくなりスタッフも経営側も大きな業務改善を実現
プリントクリエイターの導入効果は、業務時間の削減だけではありませんでした。導入前は、売上という金額に対して慣れておらず、請求書を作る際に「これで大丈夫なのかな」と不安になってしまうそうです。そのため「金額は正しいですか、内容は大丈夫ですか」と上司に何度も確認するプロセスが発生していました。
しかし、kintoneに登録した情報が正しいことを確認できていれば、ボタンひとつでPDF出力するだけです。kintoneアプリは経営側も毎週見ているので、ミスがあれば気付きます。そのため、請求書発行時はシームレスに業務が進むようになったそうです。そして、スタッフは心理的な負担から解放されました。
お金が絡むことなので、金額や項目を間違えてしまうと信用を失ってしまいます。そのため、これまでは厳しくチェックしてきたそうですが、kintoneから直接出力することでミスがなくなりました。スタッフから何度も請求内容について確認されることもなくなり、経営側の業務負担も軽減したのです。
kintoneとプリントクリエイターを活用することで、課題だった各種管理は一本化でき、収支分析も効率的に行えるようになりました。
「リッチなシステムはいらないので、欲しい特定の機能だけをkintoneと連携させたいと考えています。トヨクモさんの製品はUIも使いやすく、ノーコードで利用できるし、コスト感も高くないので、今後もいろいろと使ってみたいです」(鬼頭氏)
最後に今後の展望を伺いました。
「エディマートはDX認証を取っていて、ITツールを活用することで、業務が革新的に変わるということを体感してきました。スタッフ15名全員がクリエイターなので、一番時間を割いてほしいのはクリエイティブな時間です。クリエイティブに集中できる環境を作るため、kintoneとプリントクリエイターをはじめ、いいものはどんどん導入していこうと考えています」と鬼頭氏は締めてくれました。