無償で太陽光発電システムを導入できる「フリーソーラープロジェクト」を推進
株式会社Aoieは、PPA(電力販売契約)モデルと呼ばれる、第三者所有モデルの太陽光発電システムの導入支援を行う、クリーンエネルギー推進企業です。
同社は、太陽光発電システムの導入を希望する個人の顧客と設置場所を探している企業間の取次を行い、設置工事を完了させるまでのプロセスを業務として担っています。
PPAモデルでは、設置企業が費用を負担するため、顧客にとってはほとんどリスクなく太陽光発電システムを導入でき、設置後のメンテナンスなどもすべて企業が行ってくれます。
10〜15年の期間内、発電された電力は費用を負担した企業が受け取りますが、期間が満了するとすべての権利が無償で譲渡されるため、将来的には電気代を削減したり、余った電力を売って売買収入を得たりすることが可能です。
同社では、営業からバックオフィスまで、ほぼすべてのワークフローでトヨクモのデータコレクトを活用し、業務の効率化による契約数の増加や工数削減など一際目を引く成果を上げてきました。今回は、データコレクトを導入した経緯と多岐にわたる業務をどのように管理・改善してきたのか、代表取締役の平山翔太氏にお話を伺いました。
株式会社Aoie 代表取締役 平山翔太氏
kintone×データコレクトの導入で複数の領域における業務改善を実現
「kintoneを導入する前は、Googleのスプレッドシートを使って太陽光発電システムの案件管理を行っていました。しかし、弊社のメンバーの75人中70人ほどがPCを持っておらず、基本的にモバイル端末を使用しているので、画面が見にくかったり、案件ステータスの記入漏れや連絡漏れが発生したりと、管理が煩雑な状態でした。」
そこで、案件管理のツールをモバイル端末に最適化されているkintoneに切り替えたといいます。
「kintoneを導入したことで、モバイルから見やすくなったのはもちろんですが、必要な項目を入力しないとステータスを変更できなくしたり、連絡日が来たらプッシュ通知で知らせるようにしたりとシステム的にミスを防いで管理できるようになりました。コメント欄で案件ごとにコミュニケーションが取れるようになったのも良かったですね。
当初は案件の管理だけに使用していましたが、今ではトヨクモのkintone連携製品と合わせて勤怠や日報、経費の申請まで幅広く活用しています。」
数あるトヨクモ製品の中でも、特にデータコレクトの導入は、複数のワークフローを根本から変えるほどに効果的だったそうです。
「データコレクト導入のきっかけは、外部の取引先と使っているゲストスペースにあるアプリの情報を自社のアプリに引っ張ってきて連携させるためでした。最終的には、データコレクトの特徴でもある、『複数アプリ間の自動集計機能』と『集計した情報の可視化』を活かして営業分析や勤怠集計、在庫管理などにも活用し、広範囲での業務改善につながりました。」
データコレクトを活用した営業分析で契約数が2.3倍に!
同社では、太陽光発電システムの営業マンが日報にその日のアポ数や訪問件数、成約数などを登録しています。
データコレクト導入前は、登録された日報を管理者が一つ一つ確認していたものの、やはり一日単位で見ると調子に波があり、全体を通してのイメージがつかみにくい状況だったそうです。
「基本的に数字を見るときは一日ごとではなく、月単位で見るべきだと考えているのですが、月単位の結果が出てくるのは当然一ヶ月終わってからになります。月が終わってからここが駄目だった、改善すべきだったと反省しても遅いので、月途中でも策を打てる体制が必要でした。」
そこで、活躍したのがデータコレクトのwebhookを設定したリアルタイム自動実行機能です。
「日報に登録された数字をリアルタイムに集計し、これまでのキャンセル率とかけることで、おおよその月末着地数を出せるようにしました。これにより、明らかに数字が悪そうであれば、原因を探して、月途中のタイミングでテコ入れすることができるようになりました。」
リアルタイムに「今月はクロージングが上手くいっていない」、「今月はそもそものアポ数が足りない」などの具体的な課題を洗い出し、まさに必要なタイミングで対策を打てるようになったといいます。
「全体としての数値だけでなく、個人ごとのキャンセル率や1出勤あたりのアポ数も出しているので、個々のマネジメントにも役立っています。さらに、集計された数値をポータルからひと目で確認できるようにしたことで、営業マンの意識向上にもつながりました。」
ポータルから各数値をひと目で確認できる
「日々対策を打ち、個々の数字も改善していった結果、データコレクト導入当初の約半年前と比較して約2.3倍もの月間契約数を獲得できるようになりました。特に、プッシュ型営業のスタイルを取っていることもあり、効果的な施策になったのかと思います。」
集計だけに留まらず、可視化による分析と対策を活かして、契約数2.3倍という驚くべき成果を上げた同社。データコレクトが持つポテンシャルを最大限引き出してくれました。
案件の確認作業を大幅に短縮、月25時間の効率化とストレス軽減に成功
太陽光発電システムを設置するには、日射量(太陽光エネルギーの量)などの関係から、設置先の物件が築年数や屋根の形など一定の条件をクリアしている必要があります。
そのため、同社では太陽光発電システムの設置企業に、導入を希望する顧客の物件情報を送り、返ってきた審査結果を各顧客と結びつけて管理するというワークフローが存在します。
「当初は、案件管理のツールとしてGoogleのスプレッドシートを、審査関連書類の連絡手段として他の外部ツールを使っていました。数件なら問題ないのですが、100を超える案件数を同時に管理していたため情報を追うだけでも大変で、案件ごとに管理するにはあまりに煩雑でした。」
そこで、kintoneを導入し、前述の通りシステム的に管理はしやすくなったものの、また新たな課題がでてきたといいます。
「顧客の情報を管理する『顧客管理アプリ』と審査状況を管理する『審査アプリ』という2つのアプリがあり、営業マンは各アプリ内の情報を把握してからお客様の元に訪問する必要があります。
『審査アプリ』は外部とやり取りをする関係上ゲストスペース内にあるので、kintoneの標準機能では関連レコード一覧が使えず、審査状況を見てから顧客情報を確認するには、顧客IDを覚えてアプリを開いて検索するという工数がかかっていました。」
営業マンは訪問前・訪問当日と少なくとも2回は情報を確認しており、作業に要する時間としては1件につきおおよそ5分ほどかかっていたといいます。この内、多くの時間は顧客のレコードを探し出すのに取られていたため、面倒な作業に時間が取られるストレスもあり、社内ではkintoneをやめたいという声も上がるほどだったそうです。
この課題を解決したのが、トヨクモのデータコレクトでした。
「ゲストスペース内の『審査アプリ』と自社スペース内の『案件管理アプリ』間を直接行き来できるように、『案件管理アプリ』のレコード番号(顧客ID)をキーにしたXLOOKUP関数を使い、関連レコードのURLを引っ張ってくることで、それぞれにリンクが表示されるようにしました。ワンクリックで飛べるようになったので、ストレスもなくなり、余計な時間が取られることもなくなりました。」
アプリ内のリンクを押すだけで同一顧客の情報を確認できるように
データコレクトの設定画面。XLOOKUP関数を使用している
月あたり約300件の案件があるとのことで、削減できた時間としては「5分×300件=約25時間」と、おおよそ月25時間の効率化に成功したといいます。
「URLを引っ張ってくるだけに限らず、取引先が変更した『審査アプリ』内の値を『案件管理アプリ』に自動で反映させたり、反対に自ら変更した値を『審査アプリ』に反映させたりとリアルタイムに数値が変更されるよう設定しました。」
従業員からは、「このシステムがないと無理!」という声が上がるほどに好評とのことで、データコレクト導入前とは見違えるほどの評価を得られているようです。
在庫管理を自動化することで経費と工数を削減
同社では、太陽光パネルの設置工事を行うために、部材や専用のブレーカーなど必要なパーツを在庫として常に確保しておく必要があります。
「データコレクト導入前は、直前になってパーツが不足していることに気づき、急遽ホームセンターに仕入れに行くなんてことが度々ありました。仕入れ値が高くなったり、領収書のチェック作業が発生したりと良いことは一つもなかったですね。」
そこでデータコレクトのwebhookを活用し、自動的に在庫数を管理できる体制を作ったといいます。
「部材の入出庫を『入出庫アプリ』に登録してもらって、『在庫管理アプリ』と連携させることで在庫数が自動的に算出されるようにしました。規定在庫数を下回ったらkintoneから担当者に通知が飛ぶようにしています。webhookの自動更新はもう一つ手があるようなものなので、工数も削減できますし、かなり役立っていますね。」
割高な仕入れや領収書のチェック作業などがなくなり、経費と工数の削減を同時に実現しました。
走行数やガソリン代を集計し車両管理として活用、コストの正確性を確保
データコレクトを導入し、ワークフローが大きく改善されたと語る平山氏
工事や訪問に伴い現地に赴くことが多いため、日常的に社用車を使用している同社。社用車の使用状況を把握する「車両管理」にもデータコレクトを活用されているようです。
「『車両管理アプリ』に毎日の走行数を入力させて、給油をした場合は金額を記載し領収書を添付してもらうようにしています。金額はユーザー別で自動的に『経費精算アプリ』に集計されるので、経費精算の金額を確認するとともに、走行距離に対してガソリン代が多すぎないかチェックしています。」
以前は、余分に走行されていたり、私用の領収書が混ざっていたりした時も、不正を確認する手段がなく、出された領収書すべてに対応していたとのことですので、導入後の改善効果はかなり大きそうです。
毎日の勤怠登録から給与や残業代を自動算出
従業員が日々行う勤怠登録の情報を集計することで、給与や残業代を算出している同社。データコレクトの強みであるアプリ間の集計機能を活かすことで、作業工数が格段に減ったといいます。
「従業員が『出勤管理アプリ』に勤怠登録を行うのですが、その情報を元に従業員ごとの出勤数や残業時間をデータコレクトで集計して、『基本給×出勤数』、『割増賃金×残業時間』のように自動で計算することで月給や残業代を算出しています。これまではCSVファイルに書き出し、式を入力して計算していたので、それを自動化できたのは良かったですね。」
従業員ごとの出勤日数や残業時間が自動で集計される
“人が行っていた作業をシステムに任せて自動化する”という理想的な活用方法を示してくれました。
最後に、今後どのようにデータコレクトを活用していきたいか伺いました。
「引き続き営業分析を中心に活用していきつつ、新規でサブスクの事業をやる予定があるので、将来的にはマーケティングにも役立てていきたいですね。リードからの契約率や解約率を可視化したり、アクティブユーザーごとに特定の数値を出したりしていければ良いなと考えています。」
データコレクトの強みを最大限活かして、複数の領域におけるワークフローを大幅に改善された平山氏。業種・業界問わず、大変参考になる事例となりました。