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會澤高圧コンクリート株式会社様

複雑化&属人化していたExcelの帳票出力をプリントクリエイターで業務改善!

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會澤高圧コンクリート株式会社様

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 會澤高圧コンクリート株式会社は昭和10年に創業し、今年で88年目を迎える老舗のコンクリートの総合企業です。本社は北海道苫小牧市で、国内20箇所に事業所を構え、製品工場が12カ所、生コン工場が11カ所、さらに海外にも3拠点を展開しています。社員数は647名です(令和4年8月現在)。

 2011年、東日本大震災により工場が被災し、會澤高圧コンクリートが進めていたプレキャスト住宅基礎プロジェクトが一時中断しました。チームは一旦解散となり、少ない人数で業務を進めることになりました。

 業務を進めるにあたってデータベースツールなどはなく、様々な帳票を出力するために、Excelが乱立することになりました。バックアップは取っているものの、複数人で操作するので頻繁にデータが破損し、"手間をかけて修復する"か、"バックアップから戻して最新の情報を失うか"という二択を迫られていたそうです。

 そんな課題を解決するため、kintoneと「プリントクリエイター」を導入し、脱Excelを実現したのです。今回は、一人オペレーションで奮闘していた状態から、脱Excelと業務効率の改善を実現し、プロジェクトを強力に推し進めた経緯について、會澤高圧コンクリート  畑野奈美氏にお話を伺いました。


會澤高圧コンクリート 未来開発本部 畑野奈美氏


気合いと根性でExcelを使っていたが限界が来たのでkintoneを導入


畑野氏が入社したのは2009年で、まずは住宅に使われるコンクリートを総合的に扱うハウジング事業に配属されました。その中で進められているプロジェクトの1つが、プレキャスト住宅基礎プロジェクトでした。

従来、住宅を建築する場合は、まずは基礎工事が必要です。設計図に従って土木作業を行い、木で枠を組み、コンクリートを流し込みます。こちらは、通常2~3週間かかる作業です。このコンクリートの基礎を工場で作成し、現場に持って行って組み立てるのがプレキャスト住宅基礎です。プレキャスト住宅基礎であれば、約半日で作業することができます。年々、型枠を組める職人が減っていますが、この方式であれば職人がいなくても設置できます。

「ハウスメーカー様とコンクリートの継ぎ目に金物を付けて接合する共同特許などを取得しており、今年は約1000棟の実績があり、来年は1200棟を手がける予定です」(畑野氏)

しかしプロジェクトが軌道に乗るまでは平坦な道のりではなかったそうです。2011年、メーカーや企業のカタログにも掲載してもらい、いざこれから本格的に稼働、というときに東日本大震災が発生したのです。プレキャスト住宅基礎を作成する工場は仙台にあったのですが、被災してしまいプロジェクトが一時中断。メンバーも解散し、企業との取引も止まってしまいました。

その後、2012年にプロジェクトが再開されましたが、その時の運用メンバーは畑野氏と上司の二人だけだったそうです。

新たに茨城の工場で基礎を作成することになったのですが、案件を管理するシステムは何もありません。オペレーションを担当している畑野氏は、Excelを駆使し、気合いと根性で乗り切る日々を送ることになりました。

「Excelは、いつの間にか設定が変わってしまっているということが度々ありました。慣れていない人が、納品日を確認するために、ソートをかけることがあるのですが、他の項目を触ってしまい、元の状態に戻せなくなることが多々ありました。『決まった項目だけを触れば、確実に希望する操作ができるはずなのに』と感じながらも強く注意することもできません。手動でバックアップは取っており、データを戻すと数日前のファイルになり、最新のデータは失われます。しかし、一から手動で戻そうとするととても時間がかかり、業務に支障が出ていました」(畑野氏)

Excel管理あるあるの課題です。その後、Googleスプレッドシートも試したそうですが、あまり状況は変わりませんでした。2014年ごろに限界を迎え、このままではいけないと畑野氏と上司の二人は時間を見つけてはソリューションを探したそうです。そこで、上司が見つけて畑野氏に教えてくれたのがkintoneでした。

「以前は、緻密なコードを書いたり、システム開発を行っていたことがあるのですが、システム運用は、想定通りにいかなかったという経緯がありました。そのため、最初にkintoneの話を聞いたときは、難しくて対応できないのではと利用自体を迷いましたが、何とかしなければならない状況だったので、試してみることにしました」(畑野氏)

とりあえず、利用しているExcelファイルをkintoneに読み込ませてみたところ、一瞬で完成したkintoneアプリを見て、畑野氏はいたく感動しました。まずは物件管理のExcelファイルをアプリ化し、その後はみんなが見やすく、使いやすいように改修していきました。




Excelで出力していた帳票を「プリントクリエイター」で手軽に出力できるようにした

 
 コンクリート製品は設計支援ツールの「CAD」というソフトウェアで図面を描きます。そこから、工場で必要な材料などを帳票で出力するのですが、ここの業務で課題が出てきました。帳票はCADからCSVで情報を出力し、Excelで関数やマクロを組んで出力していたのです。

「Excelの関数がうまく動かなかったり、そもそもExcelを扱えるメンバーが限られているという課題がありました。Excelのシートもデータも大量にあり、ファイルを開いても欲しい情報を見つけるのが困難でした。Excelを無闇にいじると壊れると私が口を酸っぱくして言っていたせいか、みんな怖がって触ってくれなかった、というのもあります」(畑野氏)

以前はExcelで関数やマクロを駆使して情報を管理していました。


畑野氏は、帳票で出力するデータをExcelを駆使して作るより、kintoneから直接出力した方が楽なのでは、と考えました。トヨクモやプリントクリエイターのことは知っていたので、早速セミナーに参加し、「やっぱりこれが必要だ」と感じたそうです。

「すべての情報がkintoneに入るようになったので、Excelの条件式を使って計算する必要がなくなりました。必要な情報を必要な書式で出力できるようになったのです」(畑野氏)

物件管理アプリだけで15種類の帳票を設定し、他にも請求書や材料発注書などもkintone×プリントクリエイターで出力するようにしました。

これで畑野氏が使っていたExcelは、すべてkintone化できました。Excelを見ながら連絡を取り合っていた業務も、kintoneを見てください、と一度の連絡で完結できるようになりました。kintoneの情報が更新されたら、適切なタイミングで関係者に通知が飛ぶ仕様のため、電話やメールも減ったそうです。誰でもアプリを使えるので、帳票のExcel出力を依頼することなく、担当者自ら出力したいタイミングで出力ができるようになったそうです。脱Excelだけでなく、データ管理の属人化を防ぎ、大きな業務改善も実現できたのです。


「プリントクリエイター」でkintone内のデータを直接印刷できるようになりました。


物件管理アプリでは複数の種類の帳票を出力できます。


誤って利用中のアプリを削除した時には「kBackup」で復活させた


畑野氏はkintoneに移行してからも、手動でバックアップを取っていました。アプリのデータはCSVファイルで出力し、アプリそのものはテンプレートとして保存していました。しかし業務の拡大に伴い、アプリの数や扱うデータ量が増えてくると、手動バックアップでは不安を覚えたとのことです。

そこで「kBackup」を導入していただきました。2018年に契約していただいたのですが、運が良いのか悪いのか、すぐに活用シーンが訪れました。

「アプリの改修をしていたのですが、そこで間違ってアプリごと消してしまったんです。暫くは冷や汗が止りませんでしたが、kBackupからデータを戻すことができたので、翌日の運用には問題ありませんでした。さくっとデータの復元ができたので、kBackupを導入してよかったと契約してすぐに実感しました」(畑野氏)


他の部署でも、工事の報告書アプリで、写真などをすべて消してしまうというトラブルが発生したこともあります。その時も、kBackupでデータを元に戻すことができたそうです。

誤操作でアプリごと消してしまうトラブルにも、kBackupで復元することができました。


kMailerの導入で、送信時のチェック工数削減とストレス解消に繋がった

 
 會澤高圧コンクリートでは、別部署にて「kMailer」も利用いただいており、kMailerのご担当者にもお話を伺いました。

「設計した資料は、基本的にはお客様へメールで送付を行っていますが、送付先はお客様ごとに異なります。お客様からの要望で都度送付先のルールが変わることも、しばしばありました。そのため、宛先となる複数のメールアドレスを送信する度に、宛先となるメールアドレスのコピー&ペーストをする際にミスするリスクがあり、送信時にチェックを行うことが必要でした。

例えば、ある案件には5人の担当がいるものの、見積書を送っていい人と送ってはいけない人がいたり、建築地によっては異なる部署にも送信しなければならないなど、イレギュラーが発生します。そこで、kintoneの情報を引用して送信ができるkMailerを利用しています。kintoneに提出先をまとめたグループとしてメールアドレスを登録し、メール送信時は、対象となるレコードからメールを送信することができます。」(kMailerご担当者)

kintoneとkMailerを組み合わせて活用することで、ペーストミスをなくし、工数削減だけでなく、同時に送信時のストレスも解消できたそうです。

最後に、今後の展望について伺いました。


「プリントクリエイターはもちろん、今後もトヨクモさん製品を引き続き使わせていただきます。社内には、現在もなおExcelを使用し業務の手間や時間がかかっている部署もありますので、今後は全社的にkintone化を進めて行ければいいなと思っています。また、お客様や協力会社さんともkintoneでやりとりしたいので、トヨクモさんのフォームブリッジkViewerも使ってみたいです」と畑野氏は締めてくれました。

記事公開日:2023年7月12日
※事例記事の内容や所属は取材当時のものとなります