アイサンテクノロジーは、測量および高精度位置情報に関する技術を活かしたソフトウェア開発会社です。1970年の創業以来、開発だけではなく技術力を活かしたソリューション提供を行っています。
業務上の課題解決・効率化を意識する同社がkintoneを導入したのは、2012年のこと。利便性やコストと機能のバランスを評価され、利用歴は10年以上にわたります。さらなる生産性向上を求めて、FormBridgeを中心にPrintCreator、kBackup、kViewer、kMailerと複数のトヨクモkintone連携サービスを導入。各種サービスを組み合わせることで、社内教育や外部からのデータ収集・社内報掲示・各種帳票作成と送付など、幅広い領域でご活用いただき、業務効率化に成功しています。
本記事では、アイサンテクノロジー株式会社 取締役 経営管理本部 本部長 曽我 泰典氏・同社経営管理本部 情報システム部 豊田聡氏よりお話を伺い、サービス活用法を教えていただきました。
ローカル環境で管理していたファイル共有に課題。イベントのデモで魅力に感じ、kintoneを導入
アイサンテクノロジー社では、ローカル環境で管理していたExcelファイルの共有に課題を抱えていました。社内の基幹システムとして、自社で開発したグループウェアやサイボウズOffice、サイボウズ デヂエ(※)を利用していたものの、他部署のファイルが見られないことや最新のファイルがどれか分かりづらい仕様に不便さを感じていたそうです。また、ファイルの管理が部署ごとに分かれていたため、本来は共通であるべきフォーマットが各部署でアレンジされてしまうケースも少なくありませんでした。
▲IPアドレス・会社PC・タスクなど様々な管理をExcelシートで実施していた
そんな時、業務改善に関するイベントにて、曽我氏はkintoneの話を耳にしました。「イベントではkintoneのデモンストレーションが実施されていました。操作が簡単そうな印象を受けて、試しに使ってみようと思ったんです」と、曽我氏は当時を振り返ります。実際に利便性の高さを感じられ、2012年に本格導入されることになりました。
※2023年9月30日でサポートを終了しています
kintone浸透に伴い、外部からのデータ収集や柔軟な印刷機能などニーズが多様化。各種トヨクモkintone連携サービスの導入へ
kintoneの導入に伴い、顧客情報や商品のマスタが一元管理されるようになり、分散していたデータを集約する流れが構築されました。一方、kintoneが社内に浸透するにつれて、外部からのデータ収集時の手間や入力の非効率性が明らかになり、新たなニーズが生じます。そこで導入されたのが、フォームクリエイター(現FormBridge)です。FormBridgeの活用により、顧客やユーザーが入力した情報をkintone内へ移行する必要がなくなり、業務効率が大幅に改善されました。
また、印刷時にも課題を抱えていました。「kintoneの標準機能では印刷時に細かい書式のアレンジが難しく、kintoneにあるデータをExcelで作成したフォーマットに流し込む手間が生じていました」と、豊田氏は語ります。この手間を解消し、印刷機能を充実させるためにPrintCreatorが導入されました。これにより、kintoneのデータをそのまま引用して柔軟にレイアウトした帳票を作成できるようになりました。
▲kintone標準印刷画面。さらに細かいフォーマット設定などを希望していた
こうした改善を経て、kintoneは同社のデータベースの中核を担う役割として使用されるようになっていきます。kintoneの代替不可能性に加えて、取引先から「ゲストスペースで利用しているアプリに関してデータ喪失の備えはあるのか」と聞かれたことをきっかけに、データを自動でバックアップするkBackupの導入を決定。
豊田氏は「特に、kintoneの標準機能ではできない添付ファイルのバックアップが可能な点に利便性を感じています」と話しました。
その後、さらなる業務効率化を目指して2021年にkViewerとkMailerの利用を決めました。決定の背景には、同社の強い課題解決意識があります。
「私たちは改善に向けた情報収集を欠かしません。これまでも、kintone関連のイベントに足を運んだり、他のサービスの情報を集めたり、積極的に動いてきました」(曽我氏)
これまで利用していなかったkViewerやkMailerなどに魅力を感じ、必要性が発生したタイミングで追加導入に至ったそうです。
現在でも、契約更新のタイミングになると他社製品と比較し、最善を模索し続ける同社。検討の末にトヨクモkintone連携サービスを継続して利用する理由として、手軽さや長年の使用による操作の慣れ、kintoneとの連携の容易さ、コストと機能のバランスの良さを挙げています。
「トヨクモの製品は、社内の多くの業務に深く浸透しています。それを他のツールに置き換えるコストや労力を考慮すると、トヨクモkintone連携サービスの継続利用が最もメリットがあると結論付けました」(豊田氏)
「kintoneアカウントを持たない人の入口」としてFormBridgeを中心に活用し、様々な業務を効率化した6つの事例
10年以上kintoneおよびトヨクモkintone連携サービスを利用する同社において、その活用シーンは多岐にわたります。5つの導入サービスのうち、特に利用されているのがFormBridgeです。その魅力は、視覚的に操作方法が分かりやすく、手軽に利用できる利便性。さらに、kintoneアカウントがないユーザーも操作できるため、外部から社内のデータにアクセスする際の入口として重要な役割を果たしています。また、収集したデータはkintoneにスムーズに連携できるため、データ管理や情報共有が容易になりました。FormBridgeを始めとする各サービスの掛け合わせを成功させた秘訣は何か。業務効率化に繋がる6つの活用事例を伺いました。
1.【新入社員へのオンボーディング】 利用ツール:FormBridge
従来、新入社員へのオンボーディングは対面で説明していましたが、パソコンスキルに個人差があり、進行が難しいという課題がありました。そんな時、サイボウズ社のイベントでFormBridgeを使ったオンボーディングの活用術を知り、導入を決定。オンボーディングのステップ完了ごとにチェックを入れていくフォーム形式に変更し、対象者各々で進められる仕組みを作りました。
これにより、新入社員が自分のペースで知識を習得できるようになったうえ、進捗の可視化が実現。研修担当者の拘束時間も短縮されました。この仕組みは、他の業務への展開も考えているそうです。
▲FormBridgeを用いて作成したオンボーディングシステム
2.【社内研修テスト】 利用ツール:FormBridge
全社的な研修テストは紙で実施していましたが、テレワークやペーパーレスの観点から改善が必要でした。そこで、FormBridgeを利用したオンラインテストへと変更。
この結果、日程調整や試験会場を確保する必要がなくなり、業務が効率化されました。また、インターネットに繋がっていればどこからでも解答できるため、派遣の方などkintoneのアカウントを持っていない場合にも対応でき、結果の集計も容易になりました。
▲FormBridgeを用いて作成した社内テスト
3.【リクルーティングアンケート】 利用ツール:FormBridge
採用活動において、紙を使って実施していたアンケートを、FormBridgeを用いたオンラインフォームに変更しました。
これにより、応募者が企業を知ったきっかけや志望職種を簡単に集計できるようになりました。このデータは、採用活動のフィードバックにも役立っています。また、kintoneにアクセスするだけで簡単にデータを社内のメンバーに共有できるようになりました。
▲FormBridgeを用いて作成したリクルーティングアンケート
4.【イベント予約申し込み・キャンセル対応】 利用ツール:FormBridge、kViewer
自動運転実証実験に関するイベントの申し込みサイトを、スピード重視で構築する必要がありました。構築にあたり必要な要件を満たすことができるサービスを他社製品含め複数検討した結果、FormBridgeをベースにJavaScriptとCSS、他社サービスを使用して構築しました。
また、イベント開始当初は連絡を受けて手動で管理していたキャンセル対応も自動化。申込者が予約を確認できるページをkViewerのマイページビューで作成し、FormBridgeと連携させて、キャンセルする場合はマイページから申込者ご自身で操作していただく仕様にしました。トヨクモkintone連携サービスを組み合わせることで、これまで情報システム部にて手動管理していたキャンセル業務が省略され、工数削減に繋がったといいます。
5.【社内報】 利用ツール:kViewer
情報システム部門から月に一度発信する社内報にkViewerを活用しています。以前はkintoneの掲示板機能を使用していましたが、時間が経つと情報が見つけにくくなるという課題がありました。「特に、後から入社した社員が過去の情報を参照する際に不便だという声がありました」と豊田氏。課題を解決するために、kintoneで記事を作成したのち、kViewerで表示する仕組みを実装しました。この結果、見やすさが格段に向上し、検索機能を活用することでバックナンバーも簡単に探せるようになりました。
▲kViewerを用いて作成した社内報
6.【ライセンス証書印字発行やメール送付】 利用ツール:PrintCreator、kMailer
ソフトウェア販売の部署でのライセンス発行業務において、以前はAccessを基盤としたシステムで作成していました。しかし、基幹システムのkintoneへの移行に伴い、内部情報をもとにPrintCreatorでライセンス証書を作成する仕組みを構築しました。発行したライセンス証書は、kMailerを使ってメール送付も行っています。この仕組みは、ライセンス証書にとどまらず、領収書や見積書の発行・送付にも応用しています。
▲PrintCreatorを用いて見積書を発行する様子
▲PrintCreatorを用いて作成したライセンス
トヨクモ製品だからこそ、スピーディーに、セキュリティ面でも信頼できる新たな仕組みを次々開発できた
同社では、外部からのデータ入力が必要な場合、これまでは業者に依頼して費用をかけてフォーム等を作成するか、社内で試行錯誤しながら対応するしか方法がありませんでした。開発には1ヶ月以上かかることもあり、セキュリティやリソースにおける課題が散在していたのです。
しかし、トヨクモ関連サービスによる業務改善を行った現在では、担当者がたった数時間で仕組みを作成できるようになり、スピーディーさとセキュリティ面の安心感の両立が実現されました。
「自社開発にかかっていた時間を他の業務に充てられるので、業務の質が向上しました」(豊田氏)
また、かつてはkintoneのアプリを作成・管理は情報システム部門が担当していました。しかし現在では、ノーコードで専門知識がなくても簡単に操作できることから、DXの一環として他部署でもアプリの作成やメンテナンスが推進されています。
これにより、各種連絡や稟議などのフローやデータ共有がスムーズに。具体的には、領収書の電子発行とメール送付への移行により、領収書作成や郵送の手間(1件あたり30分×月平均10件=月300分、さらに切手代)が省略され、業務全般での効率化が進んでいます。
今後もトヨクモkintone連携サービスで業務課題を解決していきたい
kintone関連のイベントに継続して参加されている同社。特にkintone hiveには初回から参加しており、CybozuDaysにも可能な限り足を運んでいます。業務で忙しい中でも情報収集を続ける理由を曽我氏に尋ねると「毎回のアップデート内容にワクワクするからです。訪れるたびに、自社の業務課題をこれらのサービスで解決できるのではないかと、事例から多くのヒントを得ています」と教えてくれました。
「新しいサービスを柔軟に取り入れながら、これからも各種トヨクモkintone連携サービスを活用し、業務課題を解決していきたいと考えています」と、曽我氏と豊田氏は締めくくられました。
記事公開日:2024年7月5日
※事例記事の内容や所属は取材当時のものとなります