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現場視点でDXを推進し、業務改善に成功!1,000人超企業のトヨクモkintone連携サービス活用術


■導入文
インターホンのリーディングカンパニーとして業界をけん引するアイホン株式会社。同社では、営業活動における案件管理が、担当者の記憶や手帳に書いたメモに依存しており、社内の情報共有が十分ではありませんでした。

そこでSFA(営業支援システム)としてkintoneを導入したものの、急なツールの転換に現場は混乱。そこで、PrintCreatorなどのプラグインを活用し、現場の実情に即したアプリを構築したことで、次第にkintoneが社内に浸透していきました。その結果、年間320時間もの業務時間が削減されるとともに、情報共有のデジタル化が進んでいます。

本記事では、PrintCreatorをはじめとするトヨクモkintone連携サービスの活用方法について、アイホン株式会社情報システム部の鈴浦直樹氏よりお話を伺いました。

現場社員が作成したアプリをきっかけに、kintoneが社内へ浸透

kintoneの利用を開始する以前、同社では営業担当者の案件管理が個人の記憶や手帳に依存しており、情報の可視化や共有をする仕組みが整っていませんでした。そのため、前任者から十分に引き継ぎができず人脈を一から築き直す必要があったり、営業担当者間で顧客が重複し、競合してしまったりするケースもあったそうです。

こうした課題を受け、「誰でも見られる形で情報を可視化するツールが必要」という意識が社内で高まり、SFAツールが導入されることになりました。複数のSaaSを比較検討した結果、コスト面での優位性と、プログラミングやコーディングに関する専門知識がなくても自社で業務アプリを作れる利便性に魅力を感じ、kintoneが採用されました。

しかし、導入当初は社内への定着が思うように進まなかった、と鈴浦氏は話します。複数の営業所にいる500名の担当者が一斉にkintoneの利用を開始したため、現場では急な変化に戸惑う声が続出。「業務効率が下がる」「Excelのほうが使いやすい」といった反発の声が上がりました。そこで、段階的な社内浸透を図るため、SFAツールとしての一斉展開から、稟議決裁や業務報告に使う「連絡書」へとkintoneの利用目的を切り替えることにしました。

当初、連絡書アプリは営業本部内での利用を目的に開発されましたが、その評判からリリース後わずか2ヶ月で全社展開に至りました。現在では、1,000名を超える社員がkintoneのライセンスを保有し、kintoneが組み込まれた業務フローが当たり前となっています。

アナログな業務フローをデジタル化!トヨクモkintone連携サービスの活用事例3選


同社では、FormBridge、kViewer、PrintCreator、kMailerといった4種類のトヨクモkintone連携サービスを導入していますが、特に幅広く活用されているのがPrintCreatorです。

kintoneの標準機能では、レコードの詳細画面をそのまま印刷する形式に限られており、思い通りのレイアウトやデザインが実現できない点が課題でした。しかし、PrintCreatorを活用すれば1mm単位でレイアウトを調整することが可能。ワンクリックで「いつも通り」の帳票を出力できるようになり、現場社員にもスムーズに受け入れられました。

また、出力時に「今すぐPDFを見る」を選択するとブラウザ上で出力イメージが確認できるため、入力したコメントの整理やレイアウトの確認がしやすいと好評だそうです。

ここからは、kintoneが社内に浸透したきっかけとなった「連絡書アプリ」や、お客様に提供する申込フォームなど、トヨクモkintone連携サービスの活用方法をご紹介します。

活用事例①稟議決裁や業務報告用の連絡書(PrintCreator)

従来の連絡書はExcelで作成されており、社員が入力後に印刷し、押印することで承認が完了する仕組みでした。しかし、コロナ禍で在宅勤務が始まると、承認者が出社しない限り申請フローが進まない状況が生まれました。

この課題を解決するため、kintone上で連絡書の申請アプリを作成し、PrintCreatorと連携。勤務場所を問わず、申請から承認までのフローが完結できるようになりました。

連絡書アプリの開発にあたり、鈴浦氏が特にこだわったのは、書類の見た目を再現することです。当時、kintoneはまだ社内に浸透していなかったため、Excelに慣れた社員が違和感なく操作できるようにPrintCreatorを設定しました。

▲従来の書類(Excel)と新しい書類(kintone x PrintCreator)の比較

新しいツールを導入する際、社員が壁を感じやすいのは、デザインや見た目の部分です。そのため、連絡書アプリではUIに重点を置き、PrintCreatorを活用して従来の書類の形式を再現しました。その結果、現場の抵抗感が薄れ、スムーズに受け入れられたのだと思います。」(鈴浦氏)

こうして申請・承認が効率化された結果、年間320時間の業務削減に成功。さらに、Excelや紙のやり取りに伴う紛失や、手書きの文字による誤解や確認作業の手間が減少しました。また、kintone導入後は、レコード閲覧権限を活用することでセンシティブな情報を保護しています。これにより、紙の連絡書を渡す際の情報漏洩リスクが解消されました。

「営業本部で活用していた連絡書アプリが全社展開され、会社のオフィシャルな様式として認められるまでになりました。PrintCreatorを使い始めてからの浸透スピードは、想像以上に早かったです。」(鈴浦氏)

連絡書アプリについては、以下の記事でも紹介されています。
営業から突然開発へ 自称“IT素人”のアプリが1000名の仕事を変えるまで
kintone大嫌いなITド素人が、アプリ開発で年間320時間削減 “不満の嵐”を乗り越えて掴んだ導入の極意 | ログミーBusiness

活用事例②サービス利用申込フォーム(FormBridge、kViewer、kMailer)

お客様であるマンションオーナーや管理会社からサービスの利用申込があった際、FormBridge、kViewer、kMailerを組み合わせて、申込内容の収集から確認、通知までの流れを効率化しています。

従来は紙で申し込みを受け付けており、申込用紙の配布・回収、Excelへの転記作業など、多くの手間が発生していました。また、必須項目が記入されていない場合には、再確認や再提出を求める必要があり、業務が滞る原因となっていました。

こうした課題を解消するため、FormBridgeを活用して申込フォームを作成。24時間対応可能な申し込み体制を構築しました。フォームに入力されたデータは自動でkintoneへ集約されるため、手作業での転記が不要になり、作業ミスのリスクも軽減。承認フローの迅速化とともに、業務負担の削減が実現しました。

▲FormBridgeで作成した申込フォーム


▲フォーム内にアンカーリンクを設置したり、必須項目を設定したりと、お客様が迷わずに入力を完了できるよう工夫している

また、お客様の入力負担を軽減するため、FormBridgeとkViewerの連携機能である「kViewerルックアップ」を活用し、kintoneに登録されている郵便番号マスタを参照。郵便番号を入力するだけで住所が自動的に補完される仕組みを導入することで、簡単かつスムーズな申し込みが実現しました。

▲郵便番号(住所検索)欄に郵便番号を入力し、虫眼鏡マークを押すと、都道府県、市区町村欄が自動で入力される

また、エラー通知メールをフォームの管理者だけでなく、サービス担当者にも直接届くように設定し、エラー内容の情報共有にかかる負担を軽減しています。

▲エラー通知メールの設定画面。「実行済みプロセスのいずれかが失敗時」をトリガーとして、エラーに関する情報がサービス担当者へ共有される

さらに、回答保存時に送信される自動返信メールの宛先を自社ドメインに設定するため、kMailerとも連携しています。この取り組みについて、「自社のブランドイメージを守るうえで、トヨクモkintone連携サービスのカスタマイズ性や、製品間のスムーズな連携は欠かせません」と話します。

「お客様向けに提供するフォームに高いクオリティが求められます。それに加え、自動返信メールのドメインを自社ドメインで運用することは、お客様からの信頼に繋がる重要なポイントです。」(鈴浦氏)

活用事例③協力企業との情報共有(kViewer、kMailer)

同社は、施工(インターホンの取り付けなど)を行う複数の企業と、それらを取りまとめる中間企業と連携しており、3社間で案件情報などを共有する際にkViewerとkMailerを活用しています。

これまでは、それぞれの企業とメールで日程を調整する必要があり、メール作成や日程変更時の確認に手間がかかっていました。協力企業側でも、メールで決まった日程を手動でスケジュールに転記したり、必要なメールを探す負担があり、作業効率が低下していました。

そこでkViewerを導入したところ、案件情報を一覧表示やカレンダー形式で把握できるようになり、これらの負担が削減されました。また、協力企業間で完結する施工日時の変更などについては、kintoneアプリの更新をトリガーとして、kMailerで通知が飛ぶ仕組みを構築。その結果、3社間の情報共有がタイムリーに行えるようになり、業務効率化につながりました。実際に、この仕組みは協力会社からも好評とのことです。

さらに、Toyokumo kintoneApp認証を活用することで、プライバシーにも配慮。協力企業ごとに公開する情報の範囲を制限し、必要な情報を必要なユーザーにだけ共有しています。

大切なのは現場視点。これからも社内のニーズを汲み取りながら、業務改善を続けていく

営業現場で培った経験を活かし、情報システム部門の一員として担当者が使いやすい仕組みを模索する鈴浦氏。「現場の声を丁寧に聞きながら、段階的に導入を進めることで、それぞれの製品を最大限に活用できるようになる」と語ります。 

「会社の方針や新ツールを一方的に押し付けても、現場との溝が深まるだけです。kintoneやトヨクモkintone連携サービスを効果的に活用するためには、アプリの作成自体を目的にするのではなく、新しい業務習慣や文化を作ることが重要だと感じています。kintone導入から約8年が経過し、当初目的としていたSFAツールとしての活用がようやく現実味を帯びてきました。

kintoneの魅力は、ノーコード・ローコードツールとして、市民開発がしやすい点です。しかし、トヨクモkintone連携サービスはサービス単位でのアカウント管理ではなく、メインアカウントとサブアカウントの2種類のみです。そのため、kViewerやkMailerのように社外への情報発信を目的とするサービスは、適切な運用のために、社内ルールを整備することが大切かもしれません。ただ、社内業務で活用するFormBridgeやPrintCreatorに関しては、より柔軟に市民開発を進められる環境を整えていきたいですね」(鈴浦氏)

記事公開日:2025年3月13日
※事例記事の内容や所属は取材当時(2024年12月10日)のものとなります